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2年ぶりのお酒は献杯

お酒を断って2年以上、本当に飲まずにきました。
でも今夜は、友人への献杯ということで、少しだけいただきました。
ヴーヴ・クリコ、おいしかったなぁ。


オーストラリア人の友人は、わたしより10歳以上上で、出会ったのは28年前。わたしは18歳でした。
家族ぐるみのお付き合いです。

オートバイで山道を走る経験も彼の後ろでした。
「怖くても僕と同じ向きに倒れるようにするんだよ」と教えてくれて、ガッチガチに彼に抱きついて「落ちる!」と叫んだ思い出。

当時のわたしの彼氏と親友だったので、一時期同棲かのように彼の家族と一緒にいました。
わたしと彼氏がベッドで寝ていると、部屋に入ってきて喋りだしたり、彼の子どもの自宅出産にも立ち会ったり。まあまあ濃い時間を過ごしていました。

彼氏と別れたあとも、彼の家族とは仲良しで、うちにお酒を持って突然現れて、わたしの母と呑んだくれたことも何度かありました。
本当に前触れなくやってきて、うちのインターホンを押すのです。
冷蔵庫に何もないときにやってくるので、慌てて買い物に行って、ご飯作って、遅くまでワイワイしました。

オーストラリアに留学していたときは、とてもお世話になりました。
空港に迎えに来てくれたり、彼の友達の家に連れていってくれたり、彼の実家に遊びに行ったり。
車に乗ってたらガス欠になって、ちょうど坂道下ったところにガソリンスタンドがあって、ドキドキしながら走ったこともありました。


彼はALSを発症し、2年前に亡くなりました。
亡くなった日だったかな、夢に彼が出てきて、わたしに言いました。

「○○○(奥さん)のお母さんのこと頼むね」

これも不思議な縁で、うちと奥さんの実家がとてもご近所で、何かあれば駆けつけられるのです。
少しだけお役に立てたこともあり、約束は果たせています。


今夜は、オーストラリアから帰ってきている彼の奥さん、彼の日本での仕事仲間であり友人の男性、わたしたちが若い頃からお世話になっているバーのママと、シャンパンを開けて彼の話をいっぱいしました。
ちゃんと彼のグラスにも黄金色のシャンパンが注がれ、きっと一緒に飲んでいたと思います。

みんな彼の話をしたかった。コロナでこんなに遅くなってしまったけれど、やっと献杯できました。
いい夜でした。

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小笠原ゆき
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