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雪の「こよみのよぶね」12月22日

早朝、まだ寝ている娘に「いってきます」と声をかけ家を出た。快晴の東京、おにぎり一つとお茶を買い新幹線に乗り込む。
富士山が見える窓側に座り、雪化粧の美しい姿を見られて心が弾む。

岐阜駅に着くと金ぴかに光る信長さまに「お久しぶりです」とごあいさつ。バスに乗り長良川に向かう。


人が泳げるほどきれいな川に行くには、遠路はるばるというイメージがあるのではないだろうか。
長良川は駅からバスで15分である。

到着すると、各チームが作った行灯が並べられ、屋形船に固定する作業が始まっていた。寒い中、安全に考慮してこの作業をしてくれる職人集団に感謝である。

わたしの今日のお役目は、みんなのお昼のお弁当を受け取り、代金をみんなから回収すること、夕方のおにぎりを仕分けしておくこと、おつりが入った金庫の番。そして「こよみっけ」というみなさんの思い出が書かれた紙をタコ糸につける作業を仕切ること。
ありがたいことに屋内での作業が中心で、みんなよりは寒さを感じずに過ごせた。けれど、西の空はあきらかに降ってるなと思われるダークグレイ。
一度家に帰りダウンコートを着て、カイロを貼り、マフラーにニット帽で完全防備で戻った。

夕方、少し暗くなった4時半ごろ、行灯の点灯式が行われた。船は8艘と小さなボートみたいな船が1艘、発電機の音が一斉に鳴り、日比野克彦さんのカウントダウンの声に合わせ点灯させた。

あぁ今年も無事に点灯した。これで年を越せる。
乗船する人たちはスキーに出かけるような装いで乗り込む。川風が冷たくて、体の芯から冷えるのだ。
出船するみんなに大きく手をふり、一旦建物内に戻る。
川の対岸にいるスタッフたちのおにぎりを準備し外に出ると「えっ?」絶句である。
雪が降っている、ボカボカ降っている。風に流れてきた雪ではない、本気出して降っている。
「まじか……」
雪を浴びながら橋を渡り、どんどん白くなっていく金華山を眺める。
頂上の岐阜城の灯も次第に見えなくなるほどの本降りだ。
これは船上は凍えるだろう。
絵としては美しい、こんなに降った「こよみのよぶね」は初めてだ。

久しぶりに会う地元の友人たちや、元職場の人たちなどと会話を交わし、少しあたたかいものを流し込み暖を取る。
やはり早めに船は戻ることになり、慌てて対岸に戻る。
船の屋根には雪が積もり、毎年行灯を下ろして解体するのだが、危険ということで延期になった。

「こよみのよぶね」実行委員長をお願いしているホテルパークの社長から、毎年打ち上げ会場と大浴場を提供していただいている。
みんなはとにかくお風呂で体を温め、もうドすっぴん状態で打ち上げ会場に流れ込むのだ。
日比野さんは半袖Tシャツで登場(笑)
朝方まで続く大宴会を2時前に失礼した。

長い長い一日が終わる。
そしていろいろあった一年を振り返る。
毎年恒例の冬至の過ごし方。
東京に来てがっつり関われないことがさみしいけれど、それでも本番は自分の目で見たい。
ここでしか会えない仲間に会いたい。
わたしにとって大事な地元のお祭りなのだ。

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小笠原ゆき
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