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イヌの幸せを追求してたらヒトの幸せにたどりついた話し
イヌたちと楽しく暮らす。
みなさん、我が子(愛犬)はほんとカワイイですよね
ベッドのそばで尻尾を振りながら「おはよう」と言うように顔を覗き込んでくれる姿。
ほんの2〜3時間の留守だったのに、10年ぶりぐらいに会ったような歓迎のしかた。
家の中でおもちゃをくわえて走り回る無邪気な姿に、毎日の疲れが癒されます。
犬と暮らしていると、日々の小さな瞬間が特別に感じられ、家族の絆がより深まる気がします。
けーれーどーもー
日常の中で、すべてが楽しいことばかりではなかったりする。
いいときもあれば、調子のよくないときもあるでしょう。
〇〇しないでほしい・・・
〇〇のとき、めっちゃ吠えるんだよねぇ
トイレうまくいかないんだ・・・
〇〇をすごくイヤがるのよね
とか、小さな悩みから、深刻な悩みまで
朝ちょー寒い・・・今日は散歩いやだなぁ
早く帰んなきゃな。もう少しゆっくりしたかったなぁ
とか面倒なこともたくさんある
うちの子がなにを考えているのか、わかならくて苦しい・・・
わたし、あなたのことこんなに考えているのに、なんでわかってくれないの・・・そんなふうに、だいぶ追い詰められている方もいらっしゃるのではないでしょうか
イヌのしあわせ・ヒトのしあわせどっちも大切なんじゃないだろうか
わたしはドッグトレーナーなので、愛犬がなぜその行動をするのか?飼い主さんへお伝えして、いろんな問題に対応したり、予防を考えてレクチャーしたり。
どうすれば「その子が幸せに暮らしていけるか?」をメインに活動しています。
普段は、イヌの行動と学習とヒトの技術をお伝えしてます。
過去のブログ記事も、ほぼそうした内容になっています。(よかったら読んでくださいね!とても役立つはずです)
つまり仕事柄
”ドッグ・ファースト”であるわけ。
なんならイヌのことなら何時間でも話ができるぐらいイヌの行動オタクだし(笑)
「愛犬の幸せが、飼い主さんの幸せになる」
理想はそう。
実際に、お困りごとが改善されると人の生活の質(QOL)がグンとアップするのは間違いない。
愛犬の「うれしそう・たのしそう」を増やして、その様子を見て幸せな気持ちになれるたら最高。
愛犬との共同作業で、心を通じ合う感覚になったときも、とても幸せを感じられる方も多いかと思う。
でもね、理想はそうなんだけど
それって、飼い主さん自身にスキルが必要になるので、急にはそうできないことも多い。理想に近づくためには時間もお金も労力もかかる。
近くにいいトレーナーさんがいて、いいサポート受けれるとか環境も左右する。
みんなイヌたちのこと以外の何かを抱えている。
仕事、家庭、対人関係など
いろんなことが日々あるわけですよね
そこで考えたのです。
みなさんにイヌたちのことへ目を向けてもらうためにはどうすればいいのかを。
でもそれもね。興味を持ってもらわなければ始まらない。そのためにどうしたらいいだろう?が、永遠のテーマと言ってもいいぐらい難しい問題。
そして気がついたのです。
「こころの余裕とイヌへの関心」がポイントだなと。
「イヌへの関心」については、これまでもいろんな情報を発信してきました。
まだまだの部分も多いですが、それなりにアプローチかけられてきたとも感じています。
ところが「こころの余裕」には、なーんにも手をつけていない。
そこで「ヒトがしあわせとな状態とは?」なんだろうかと。
これまでのアプローチは
イヌのしあわせ → ヒトのしあわせ
今度は逆に
ヒトのしあわせ → イヌのしあわせ
どちらも「しあわせ」であれば、最高だよね。
かならず双方に良い影響を与え合うものでもあるはず。
そういうわけで
「ヒトにとっての幸せとはなんだろう?」
を学問ベースで学び始めました。
今回はどんなこと勉強してるの?をご紹介する記事です
これからこうした記事が増えると思うので、お楽しみにしてくだされば幸いです。
学習性無力感
幸福とはなんだろう?そんなことを調べているうちに
「ポジティブ心理学」という学問にであいました。
ポジティブ心理学は、1990年代後半に心理学者のマーティン・セリグマン(Martin Seligman)によって提唱され、発展した心理学の分野です。
えっ?だれ??ってなりますよね(笑)
セリグマン博士の名前は知らなくても、応用行動分析学を学んでいるトレーナーであれば、かならず知っている用語があります。
『学習性無力感(Learned Helplessness)』
セリグマンは1960年代に、これを発見した学者さんです。
この研究は、個人が困難な状況に直面した際に、「無力感」を学習し、それがどのように行動や心理状態に影響を与えるのかを明らかにしました。
学習性無力感を簡単に説明すると
『なにをしても回避できない状況に陥ると無力になり逃げることもしなくなる』
この現象が動物だけでなく人間にも当てはまると考えました。たとえば、以下のような状況で似たような心理状態が観察されます:
◽️ いじめや虐待を受け続けている人が状況を変えようとしなくなる。
◽️ 長期間にわたる失業や病気で、希望を持てなくなる。
◽️学校や職場で失敗を繰り返し、「自分にはできない」と感じる。
彼は学習性無力感が抑うつや無気力の原因の一部になることを指摘しました。
学習性無力感から始まった疑問
究極にネガティブな状態の「学習性無力感」
ネガティブのスペシャリストの研究者だったセリグマンは、逆の現象にも注目するようになりました。
なぜか同じ困難な状況に置かれても、あきらめない人や動物がいたことです。
この問いが「学習性楽観主義」(Learned Optimism)の研究や、ポジティブ心理学の発展につながりました。彼は、認知の枠組み(説明スタイル)や、回復力(レジリエンス)の重要性を強調し、人間が困難を乗り越え、成長するための方法を探るようになりました。
そのあたりの経緯はセリグマンの著書にも書いてあるのでご興味があればお読みください。
ちなみにセリグマンの学習性無力感の研究は、心理学において以下のような貢献を果たしました:
◽️抑うつや無気力の原因を理解する新たな枠組みを提供。
◽️問題を抱える人々に対する治療法(認知行動療法など)の発展に寄与。
◽️無力感を乗り越えるための「楽観的思考」の重要性を明らかに。
この研究は、心理学だけでなく教育、医療、ビジネスなど多くの分野に影響を与えています。
そのヒトが持ちあわせているプラスを増やす取り組みへ
ポジティブ心理学の成り立ちに大きく関係しているのだけども
従来の心理学がおもに「精神疾患の治療」や「問題行動の改善」に焦点を当てていたのに対し、ポジティブ心理学は「人間がより良く生きるための要素」や「幸せや充実感の向上」に注目している
すごくいいなと感じたのがね
これまでの心理学は「マイナスをゼロの方向へ」
(病気や障害を診断し、治療すること)に基づいて発展してきた。それはもちろん大事なこと。
しかし「健康な人がさらに成長するにはどうすれば良いか」という視点が欠けていた。
セリグマンが提唱したポジティブ心理学は
「プラスを増やしていく」
問題や欠陥ではなく、個人の強みや能力に焦点を当てる研究。
動物でいうと
「5つの自由」がマイナスからゼロへの指標で
「5つの領域」がプラスへ向かう指標
イメージとしてはそんな感じかもです。
どういう学問なの?
ポジティブ心理学の主要なテーマとしてこうしたことがあります
◽️幸せ(幸福感):幸せの要素や、それを持続させるための方法。
◽️フロー(没頭する体験):活動に完全に没頭し、時間を忘れるような体験。
◽️強み:個人の強みを明らかにし、それを日常生活や仕事で活かす方法。
◽️レジリエンス: ストレスや困難に対処し、成長する能力。
◽️人間関係: 他者との良い関係が幸福に与える影響。
◽️意味のある生き方: 自分の人生に意味や目的を見出すことの重要性。
「ポジティブ心理学」って名称がちょっと怪しく感じるよね。
これ名付け親のセリグマン博士も「名前のつけかた失敗したかも」って言ってて(笑)
「ただ楽観的になること」や「ネガティブな感情を無視すること」を意味するわけではないという点を、セリグマン自身もすごい強調しています。
だって学習性無力感を研究した、ネガティブのスペシャリストだし。
あと何でもかんでもポジティブになりなさい、みたいなことでもない。
人間が持つ強みや美徳、成長する能力、そして人生に意味や目的を見出す力など、幅広いテーマをカバーするものだと説明しています。ポジティブな面に光を当てるだけでなく、困難や逆境の中での回復力(レジリエンス)や、苦難を乗り越える力をも含むと主張しています。
また従来の心理学が果たしてきた役割を否定するものではなく、ポジティブ心理学がそれを補完する存在であるとしています。
あと「自己啓発的アプローチ」でもないし、スピリチュアルでもないよ。
ちゃんと科学的な方法論と実証的な研究に基づいている。
ただ、これまで学んできた「徹底的行動主義」とはアプローチが違うので、学びながら戸惑うこともあるんだけど。
どちらも「いいとこ取ったらいいんじゃない?」というのが私の見解です。
いろんな方面から対応できたら、視野も広がるよね。
「ポジティブ心理学」という名前は、単なる楽観主義や表面的な幸福追求とは異なり、深い科学的探求を象徴する言葉として意図されています。
byセリグマン(まだご存命の研究者で、アメリカ心理学学会の会長だった偉い人だよ)
自分の中のどんな感情も認めよう
さてこれまでが、とてもながい前置き(笑)
学問なのでとてもたくさんあって、奥も深いので
たとえばどういうのがあるの?をひとつご紹介します
『セルフコンパッション』について
研究者クリスティン・ネフ(Kristin Neff)は、セルフコンパッションがストレス、うつ、不安などの心理的問題を軽減し、幸福感を高める効果があることを示しました。
ネフとコスタ(2011)の研究では、セルフコンパッションが高い人はストレスや不安のレベルが低く、自己肯定感や楽観性が高いことが報告されています。
セルフコンパッションは自己批判を減らし、感情の調整を助けることが確認されています。
ちなみに本格的な内容は、分厚い本ぐらいボリュームが盛りだくさん
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