アルコール依存症者へ贈る愛の言葉-5否定の病
実は出会ったころJはしきりと、僕はもう飲むべきじゃないんだと言っていた。
何も知らなかった私は、お酒は適度に楽しめばいいじゃん、やめる必要ないんじゃない、と答えていた。
いま思えばあの頃J自身まだ冷静な部分があって、アルコールに飲まれていっている感覚があったんだろう。
本来は頭のいい人なのである。
それから約1年後
あなたはアルコール依存症だと思う
そう告げたときのJは、まさに否定の病そのもののリアクション。
即座に
手が震えていない
飲んでいない時だってある
頭は正常だ
などなど。躍起になってまくしたてた。
そういう状態のJに反論するのは火に油を注ぐだけだと経験的に知っていたから、私はただふーんと聞いていた。
話はものの5分で終わり、いつもどおりの生活に戻っていった。