表札をローマ字表記のみにすることについて
表札がローマ字表記のみの家があります。
例えば、居住者が「高木/たかぎ」であれば「TAKAGI」となっています。
なぜ、日本で「TAKAGI」なのでしょうか?
おそらく家によっては、非常に西洋的な作りをしており、そのような家に漢字で「高木」の表札はデザイン的にマッチしないという理由があるのだと思います。
マンションの郵便受けにも同様にローマ字表記だけのものもあり、このようなデザイン的な要素、つまり、ローマ字は「カッコイイ」一方、漢字やひらがなは「オシャレじゃない」という感覚は、住居以外でも散見されます。
例えば、某メーカーの自動車名は「青い鳥」より「ブルーバード」とした方が売れるのでしょう。
サッカーJリーグのチーム名も、ヴェルディ(ポルトガル語で緑色)、ガンバ(イタリア語で脚)、セレッソ(スペイン語で桜)、ベルマーレ(ラテン語をもとにした美しい海)、パープルサンガ(英語の紫とサンスクリット語の仲間の組み合わせ)など、ローマ字のチーム名が無数にあり、アルファベット名にした方が強そうに思われるのかもしれません。
しかし、表札は自分の名字を正確に外部の人に伝えることが本来の目的です。
そのため、ローマ字を使う国や地域でアルファベット表記をするのはまだしも、日本国内で、ファッション感覚だけでローマ字表記をするのは本来の表札の目的から外れるものとなります。
英語はあくまでも手段であり、それ自体が目的ではありません。高木をTAKAGIと表記して相手に伝わらない、郵便や宅配の人、訪問者が迷うようような事態を招くようであれば本末転倒です。
観光目的の一時滞在や中長期滞在で日本に居住する外国人の大多数の母語はローマ字ではありません。漢字を使う外国人がローマ字を使用する外国人より多いですが、同じ漢字でも「高木」は読み方およびローマ字表記(中国ではピンイン)は同じではありません。「高木」は中国語のピンイン表記では「GAOMU」となりローマ字表記の「TAKAGI」と全く違った表記になります。
日本においてローマ字表記をするのであれば、在住する外国人の国籍および使用言語を考えると「TAKAGI」よりは「GAOMU」の方が表札の本来の目的を果せる可能性が高いと思います。