オータニサーンの「さん」を世界に広める
米国大リーグエンゼルス在籍時の大谷翔平選手が本塁打を打つたびに実況アナウンサーが「オータニサーン」と「さん付け」をしていました。なぜ「さん付け」になったか経緯はわかりませんが、この「さん」はとても便利な日本語の敬称です。
私が日本に住んでいた時、外国籍の友人や仕事で関わるビジネスパーソンに対して私をXXさん、と呼ぶように伝えていました。Mr.XXやファーストネームで呼ばれるより、XXさんの方が自分にとって自然です。
香港居住時でもXXさんと呼ぶようにお願いし、香港人の友人や仕事仲間も「さん付け」で呼んでいます。もちろん事前に「さん」の意味を説明して理解してもらってました。
英語を学ぶイコール英語を母語とする国の文化や習慣を無条件に受け入れることではありません。
日本ではファーストネームで呼び合うのは一般的ではありません。
米国に留学していた時、授業で日本の天皇制の話になり、ヒロヒトやアキヒトの名前が出てきました。ヒロヒトは昭和天皇のことですが、アキヒトが誰だか咄嗟にはわかりませんでした。第125代の平成天皇の明仁(アキヒト)天皇のことです。ちなみに今の令和天皇は徳仁(ナルヒト)様です。
授業中にヒロヒトやアキヒトの名前が出てきましたが、日本の天皇陛下をファーストネームで呼ぶことに大変違和感を感じたことを今でも覚えています。
正式なフォーマリティを要求される場合を除き、日常生活で英語を使う際は、無条件にMrやMs, Mrsを使う必要ありません。ファーストネームで呼ぶのも不自然な場合(年配者にはなじまないケースもあります)、ラストネームに「さん」をつけて、日本流で呼び合った方が自然です。
また、「さん」では性別を気にする必要がなく、もともと「様」が転じた敬称で、相手を敬う気持ちを含むため、非常に便利です。
以前、海外来賓の対応をした時に「パートナー」の方をどのように紹介するか悩んだことがありました。男性ならばMrで問題なく、女性の既婚者ならばMrsでよいですが、婚姻関係がなく、ガールフレンドでは誤解招く(日英では違った意味になる)ため、「さん」か「様」で悩みましたが、最終的には、英語で頂いた敬称の通り「パートナー」で紹介しました。