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「本気なら応援しか選択肢はない」という子育てのお話。
ある日のこと、息子の担任の先生から驚くような報告があった。
当時、小学1年生だった息子は、授業中につかつかと先生のところまで歩み寄り、こう懇願すると言う。
「先生、1分間でいいので外の空気を吸わせてください。」
自由にのびのびと好きなことをして良かった保育園から、時間割に沿ってきっちり授業を受けなければならない小学校の生活。
息子にとってあまりに大きな変化のため、体も心も追いつかなかったのだろう。
担任の先生は息子の心の限界を察して、いつも優しくこう言ってくれていた。
「1分間だけですよ。1分経ったら、また教室に戻ってきてね。」
息子はぺこりと頭を下げると、嬉々として教室の後方のドアからベランダへと出て行くのが習慣だった。
ときに時間を忘れ、教室に戻らない息子に、先生は優しく対応してくれていた。
幸いなことに、2年生でも同じ先生が息子の担任になった。
現在、息子は授業中に外に行くことはなくなったと報告を受け、ホッとしたのもつかの間。
先日、授業参観の動画が送られてきたのだが、算数の授業中に、黄色い折り紙を熱心に折っている息子がバッチり映っていた。
しかも、息子の席は教室の一番端の列ではあるが一番前である。
どうやら息子は外の空気を吸う代わりに、席を立たずに気分転換をする術を身につけたようだ。
息子は授業を聞くことがとても苦痛に感じるらしく、1時間近くもじっと座ることが辛くて仕方がないらしい。
「なぜ周りの友達が授業を理解できるのかが理解できない」
これは小学生になった息子が、何度となく私に訴えた疑問。
おそらく、クラスのお友達は塾や公文で、学校より先に勉強しているからだと思う。
一方、小学生になる前に息子が通っていた保育園は、習い事は一切禁止。
早期教育もテレビも禁止されていた。
読み書きでさえも、小学生になるまで教えないでくださいと言われていた。
そのため、息子は小学校の入試で自分の名前が書けず、手をあげて試験管に名前を書いてもらって合格している。(名前が自分で書けるより、人に頼めることが凄いと思われたのかもしれない)
ここで私は少し考えた。
周りのお友達のように、息子にもう少しお勉強をさせたほうがいいのだろうか?そうすれば授業が楽しくなり、もっと授業に集中できるようになるのではないだろうか??
しかし、私の答えは「ノー!」だった。
授業こそ最後まで集中して聞けない息子だが、普通に宿題は自力で解けている。成績表を見る限り勉強についていけてないというわけではないようだ。
ただ、どの教科においても授業に対しても積極性がないと評価されている。
要するに、息子にとって授業が恐ろしく退屈な時間だと想像される。
そんな息子が唯一自ら積極的に参加し、能力を発揮するのが図工と体育の授業。
保育園時代に毎日絵を描き、近くの野山を走り回った経験を十二分に発揮できる教科だからだろう。
人は得意なものや好きなことをするのは、全く疲れない。
息子は今、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)とサッカーに夢中だ。
家に帰ってきたらガンプラをいじり回し、ガンプラについて夫に熱く語る。
そしてサッカーが楽しすぎて、家の中でも風船を膨らませてはヘディングの練習をしている。
また、円谷プロの創設者円谷英二の伝記(漫画)を読んでは、めちゃくちゃ尊敬の念を抱いている。そして、円谷英治が監督をした「ゴジラ」を見せてくれてとせがむ。
好きなことをしている息子は、私の声など全く耳に入らず、集中力を切らすことなど決してない。
そんな好きなものに夢中になっている息子をみると、私は心から羨ましくなる。
私は子供時代から今までに、息子ほどに何かに夢中になったことはあっただろうか?さらには、その夢中になった物事にどっぷり浸る時間があっただろうか?
先日、Naotoさんのnoteの記事を読んでいて、心から「いいなぁ」と感じたことがあった。
その記事の内容とは、息子さんが大好きなドラムを買いたいと言ったので、場所もお金もかかるけどプレゼントしたというお話だった。
すると息子さんは嬉々としてドラムを叩き、毎日練習を楽しんでいるという。
思わず「素敵なお父さんだな〜。幸せな息子さんだな〜。」と思ってコメントしてしまった。
するとそのコメントにnaotoさんから、心に響くコメントをいただいた。
親ができることは応援だと思ってますので本気なら応援しか選択肢ないですよね。こういう思いがまたこの子達が親になった時に次の世代に繋がっていって欲しいです。
そう。親にできることは、子供の応援。
間違っても邪魔しちゃいけないのだ。
私は宿題をそっちのけで好きなことに興じる息子を、楽しみながら全力で応援してみようと思う。
興味を持ったこと、好きなこと、挑戦してみたいことは、なんでもやってみたらいい。
嫌だったらやめればいいんだから。
2年生の3学期が始まり、始業式から帰ってきた息子が大きな声で私に言った。
「今日は重大発表があります!」
学校であったことなんで、自分から滅多に話さない息子からの重大なお知らせに正直ヒヤッとした私。
「僕、学級委員長になりました。」
なぜに学級委員長?私の頭は一瞬かたまり、言葉に詰まった。
授業のときでさえ決して手をあげて発表しない息子が、珍しく自ら手をあげて立候補したというのだ。
「実はね、学級委員長に前からなってみたかったんだ。今回、女子は4人も立候補者がいたんだけど、男子は一人もいなかったの。だからチャンスだと思って立候補したんだ!」
おお!それは間違いなく逃してはならないチャンス!!
あれほど「積極性がない」と言われた息子だが、自分がやってみたいことに対しては自ら行動できることに私は心から嬉しく思った。
「よかったね!明日から、学級委員長を頑張ってね!!」
私と夫が心からの賞賛と応援のエールを送った翌朝、息子は早速寝坊した。
学級委員長になった初日、息子は学校まで重いランドセルを背負いながら、持ち前の体力をフルに活かしてダッシュしていた。