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憧れ、青春、安らぎ

わたしにとって、紅茶は憧れで、青春で、安らぎである。 小学生の頃、私は担任の先生が家庭訪問にきた時に出す来客用のカップに憧れていた。白地に青の花が映え、取っ手に金の縁取りがあしらわれているそのカップが、とても格好良く見えた。 家族内にコーヒーを飲む人間がいなかったため、来客に出すものは紅茶が主だった私の家庭において、スティックシュガーと小さな容器に入ったミルクが添えられ、あの憧れのカップに入れられた紅茶は"ちょっと贅沢な大人の飲み物"だった。 それから数年、私は中

    • 風に揺れる

      #美しい髪 長くて、真っ直ぐで、艶やかな髪。"美しい"という言葉を使わなければ多くの人がこう表現するだろうし、私もそういうイメージを持っていた。 テレビやCMで見る女優さん達が長く綺麗な髪をなびかせる姿はとても格好いい。 一方私は、学生の頃からずっとショートカットだ。 ことあるごとに「伸ばした方が女性らしい」と周りから言われるのがうんざりではある。単なる似合う似合わないではなく短くしていたいのだ。 先日横断歩道を渡ろうと信号待ちをしていたときのことだった。

      • 京都という街

        昨年、友人と京都旅行に行った。 友人が舞妓さん体験をしたいと言っていたこともあり、それがこの旅の大きな目的だった。 実際に化粧をしてもらい、着物を着て、街に出た。 沢山の人から向けられる携帯カメラ、カメラ、目、目、目。 人気キャラクターの着ぐるみを着て歩くのはこんな気分かな、とぼんやり思いながら歩いた。また、多くの人が遠巻きに勝手にシャッターを切る中で、実際に声をかけて撮影許可を取ってくれる人もいた。 観光舞妓だと分かっている人もそうでない人もいたと思うが、京都のど