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持続化補助金の採択率が低下した理由|賃上げ枠は特にご注意を

皆さんこんにちは!起業・創業コンサルタントのようしゅう|中小企業診断士です。

2024年6月5日に小規模事業者持続化補助金(第15回受付締切分)
(以下、「持続化補助金」といいます)の採択者が発表されました。

採択された方、おめでとうございます。
採択されなかった方は、次回公募は不明なため、来年度に向けてご準備を行うことになるかと思います。

今回の持続化補助金は、なんと採択率41.8%となり、過去最低レベルの採択率でした。

ちなみに第14回受付締切分は、申請件数13,597件、採択数8,497件、採択率62.5%でした。
 
申請件数はほぼ同数ですので、単純に採択件数が3,000件近く減少しました。

この結果について、事務局公式から以下のような発表がありました。

❶公募要領に記載する補助事業者の要件に合致しない
❷申請書類の不備

今まで、このような公式発表はなかったため、この点に採択数減少の理由がると推測します。

ではなぜ、このようなことが起きたのか解説していきます。 


❶「要件に合致しない」は審査の厳格化が影響か

2023年秋に実施された行政レビューでは、事業再構築補助金について、かなり厳しく制度追求がされていました。

「行政レビュー」とは、民主党政権時代に「2位じゃダメなんですか?」というフレーズで話題になった事業仕分けの後継で、国の事業を外部識者が評価する制度です。

動画を見たことがある方は、ご存じかもしれませんが、「抜本的に事業を構築し直すべき」「国庫返納して通常の予算措置とすべき」など、かなりストレートで突っ込んだ発言をされていたのが印象的でした。
 

※本記事では行政レビューの細かい説明は省きますので、興味ある方はこちらもご参考に↓


この時の行政レビューでは「事業再構築補助金」がクローズアップされていましたが、実はそれまでにも、毎年「ものづくり補助金」について指摘がなされていたんです。

つまり、補助金全般について制度を見直しましょうとなったわけです。

そして、中でも指摘されていたのが「審査の厳格化」です。
 

実際に、事業再構築補助金は、審査項目が大幅に変わっているのが一目見て分かります。

持続化補助金は、基本的な審査項目の変更はないものの、これまでよりも事業計画書を見る目が厳しくなったことは否めません。

実際に今回、不採択になった案件を知り合いの中小企業診断士から複数人から情報収集してみたところ、「今まではテクニックを使ってなんとか通っていた案件が、不採択になった。」という声を聞きました。

そもそも、補助金の趣旨に沿っていないという案件は、今後も採択を取るのは厳しそうです。
 
 

❷電子申請の方式が変更に戸惑い

第15回公募より大きく変更となったのが、申請方法の変更です。

これまでは、ワードで作成した事業計画書をPDF化し、添付するだけという簡単な申請方法でした。

これについても、実は、先ほど紹介した「行政レビュー」が絡んでいます。

行政レビューの中では、補助金制度の「費用対効果」が疑問視されていました。

主な指摘は以下の通りです。

✔補助金リピーターが何度も採択されている
✔補助金投入に対する効果測定の手法が不明確
✔そもそも費用対効果を測定するデータが揃っていない

こうした外部識者の意見に対して、経済産業省の担当者は頑張って批判していました。

「中小企業経営者の中には、パソコンを使えない人もたくさんいるんです。」

しかし、外部有識者の言うことも、ごもっともである。

国の事業として「税金を投入する」のであれば、ちゃんと効果があったのかを検証しなければならない。

そんなこんなで、経産省としては色んな批判を覚悟し、PDF貼り付け型から、ブログ形式で申請入力していく方式に変更となりました。

ブログ形式の場合、検索や分析がラクにできますからね。

noteをやっている方は、まさに記事を書くような感覚ですが、パソコンを触ったことが無い人、ブログを書いたことが無い人にとっては、それ自体がハードルになってしまいます。
 

更に、事業計画書には図表や写真をよく使いますが、コピー&ペーストで挿入すると上手く表示されないケースもあり、画像挿入ボタンから添付するのも注意点です。

このような申請方法の変更と若干の記載項目変更も相まって「あれ?今までと違う…」と、入力不備が続出したことが想像できます。
 


❸要注意「賃金引上げ枠」の添付書類

個人的には「これが結構多かったのではないのかな」と思うことをお伝えします。

持続化補助金「賃金引上げ枠」では、通常50万円の補助額が、最大200万円まで上限がアップします。

最近の補助金ブームもあってか、「賃金引上げ枠で申請したい。」というケースはかなり多いです。

50万円と200万円では、大きな差ですからね。

賃金引上げ枠の場合、事業場内で働く従業員(パートさん等)の最低賃金を、補助事業終了時点で地域別最低賃金+50円以上にする必要があります。
 

例えば、大阪府の最低賃金(令和5年度)は1,064円であるため、
最も賃金が低いパートさんが1,080円だった場合、
補助事業終了時点までに1,114円(1,064円+50円)以上
に引き上げることが要件となっています。

これ自体はシンプルな制度ですが、問題はこの添付資料です。

この賃金引上げ枠に申請するためには、「賃金台帳」の添付が必須になりますが、公募要領を見る次のように書いてあります。
 
 

⓵直近1か月間における労働基準法に基づく賃金台帳

ここで小規模事業者さんにとっては、一つ疑問が生まれてきます。
 

「労働基準法」に基づく賃金台帳…とはなんぞや。
 

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