こちらの都合で決めつけない
「まだ2歳なのでわからない」
「何度も同じこと言ってるのに変わらないから」
子育てや部下育成に関わっていると、その変化がすぐにみてとれず育てる側が半ば諦めた気持ちになることがあります。私が子育てや育成の時などに大事にしているのは、こちらの勝手な決めつけで相手の成長の機会を奪わないこと。こちらの都合で決めつけないについて綴ってまいります。
わかるかどうかを決めつけない
あるセミナーで若いママから
「うちの子はまだ2歳なので、どうせ言ってもわからないから」
と、言うことを聞かないこどもへどう接していいかの質問がありました。さて皆さんに質問です。2歳のこどもは親がいうことをわかるでしょうか?それともわからないでしょうか?
答えは「わかる」です。個々の成長や発達にも差はあるかもしれませんが、2歳以上のこどもは本人が話せる言葉よりも、会話の内容や言葉の意味を理解しています。
乳幼児期の発達に詳しい東京学芸大学の岩立京子教授によると
子どもは言葉を理解するほうが、話せるよりも先。ふだん、口にしない言葉でも、その意味をわかっていることがあります。さらに周囲に雑音があっても母親や父親、保育園の先生など、その関係がよく自分が信頼している人の話は、しっかりと聞いているそうです。誰の言葉に耳を傾ければいいのか、子どもは知っているのです。さらに言葉本来の意味がわからなくても別の力で内容を理解するといいます。
わかっているだけでなく、関係性が良好な人、または自分が信頼している人の話しほどしっかりと聴いている。これは、大人でも同じですよね。
仕事のことでいろいろと悩んでいたり落ち込んでいた時期に、2歳の長女が何気に側にやってきて「ぎゅーっ」と抱きしめてヨシヨシとしてくれたことを思い出します。こどもはその場の雰囲気や感情を読み取る力も優れているんですよね。
なので、その時のママの質問には
「◯◯ちゃんはママの言っていることを理解する力があります。大事なことは『この子はわからないはず』とママの勝手で決めつけないことかもしれません。◯◯ちゃんはママのことわかってますよ」
とお答えをしました。
やりたいことが別にある
「そうはいっても、何度言っても言うことを聞かないんです...」
頭ではわかった、理解したとしても行動に変わるのはまた別です。これはやったほうがよいとわかっても後回しになる、つい先延ばしにすることってありますよね。
部屋の片付けや溜まっている書類整理、ダイエットのための運動や控えなきゃいけないアルコールなど。
こどもといえど同様かもしれません。またこどもは特に、自分の感情や本能的にやりたいことやほしいものを素直に選択するので、言われたことよりも自分の目の前のやりたいこと、ほしいものが別にあることが多いかもしれません。
行動や腹落ちまでにはタイムラグがある
「きっとわからないだろう」と決めつけた時の表情や態度ってどうでしょうか。言葉以上にその雰囲気や態度を読み取ってしまい、それに期待する行動(=言うことを聞かない自分)をとっていることもあります。
これを続けていくと「ママは自分のことを信頼していない。どうせできないって思っている」と自己肯定感を育む機会をも奪ってしまうことにも繋がります。
わたし達も実際、頭で理解しても行動に移せず、逆にその意図することが腹落ちするまでにもかなりのタイムラグがあります。
「親があの時言ってたのはこういうことだったのか」
「上司がしょっちゅう言ってたことは、これだったのか」
なんて記憶はありませんか?こどもが本当に理解する、腹落ちするにはタイムラグはあるかもしれません。だからと言って「わからない」と決めつけることは、こどもの成長そのものを奪うことになります。
「こうしてほしいことが、きっといつかはわかるはず、と信じて繰り返し届けることが大事になると思います」
こちらの都合で決めつけて成長の機会を奪わない
子育ても部下指導も、「待つ」ことと「忍耐力」のチャレンジだと私は理解しています。こちら側の一方的な解釈や進め方というこちら都合は、相手の成長の機会を奪う行為に繋がるからです。
「早くやりなさい」
「さっさと終えて!」
「何度言ったらわかるの」
ある意味の時間との戦いも多いので、待てずにいると、こちらが手助けする、先回りしてやってしまういます。でも一方で本人の行動する機会を奪うことにもなります。
それぞれの行動や腹落ち感にもタイミングがあります。そして日々成長している存在です。いずれその子のベストのタイミングが来ることを信じて、こちらの都合で決めつけない、そして成長の機会は奪わずにいきたいですね。
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