プラごみ削減前進(新法成立22年施行)
プラスティックごみのリサイクルを強化し、排出削減に向けた新法「プラスチック資源循環促進法」が6月4日の参院本会議で成立しました。使い捨てスプーンやストローを多く提供する事業者には有料化や削減策を義務付けられることになります。このプラごみ新法(プラスチック資源循環促進法)について綴ってまいります。
「プラスチックの海」?!
世界では、年間推計約800万トンものプラスチックが「ごみ」として海に流れ込んでいるってこと知ってましたか?なんと東京スカイツリーの222基分、ジャンボジェット機5万機分という驚きの量。
しかもこのペースで海にプラスチックが増えていくと、2050年には海にいる魚の重量よりもプラスチックの方が重くなり「プラスチックの海」になってしまうのではと懸念もされています。
実際に、海鳥が海面に浮遊するレジ袋を魚と間違えて食べてそれで息をつまらせ死んでしまったり、海岸に打ち上げられたクジラの胃の中から80枚あまりのプラスチック製の袋が見つかったことも。ウミガメの鼻にプラスチックストローがささった映像は私もかなり衝撃でした。
また、捨てられたプラスチックのごみは、海で波の力や紫外線の影響で細かく砕けていくのですが、5mm以下になったマイクロプロスチックが世界中の海で存在しているようです。これらは自然界の中で分解されることがなく、半永久的にたまり続ける可能性があります。しかもこのマイクロプラスチックは魚や海鳥の体内から大量に見つかっていて、食物連鎖を通じて私達の体内にも蓄積されるのではないかという懸念もあるようです。
実際に、最近WWF(世界自然保護基金)の報告によると
1週間に1人平均5gのプラスチックを体に取り入れていると見られる
とのこと。まだそれによる具体的な影響はよくわかってはいないようですが、健康被害とならないことを祈るばかりです。
プラスチック資源循環促進法
この海洋プラスチック汚染が生態系に与える影響が深刻化し、国際的にもプラスチック製品の使用抑制、回収・リサイクルの推進が加速しているというわけです。プラスチック製品が石油由来が多く化石燃料を大量消費し、処分する時に石油を燃やすので温暖化をはじめとする気候変動がさらに進みます。そのため脱炭素社会に向けて今後も素材の転換を進める動きを加速させることが重要だと言われています。
日本でも、2020年の容器包装リサイクル法の関連省令改正があってレジ袋の有料化が行われ、皆さんもマイバッグを持ち歩くのは習慣化している人も多いでしょう。
今回の新法「プラスチック資源循環促進法」では、プラスチック製品全般に対して、環境に配慮した設計を促進し、使用の合理化、排出・回収・リサイクルの仕組みづくりを目指しています。
市区町村や事業者に対する(努力)義務も
プラスチック循環利用協会によると
2019年のプラスチックごみの国内排出量は約850万トン。
このうち製品原料などにリサイクルされたのは25%。
焼却熱を発電に使う「熱回収」が61%を占め、残りは埋め立てなどで処分。
まだまだ環境負荷をかけている現状に対して、新法では2022年までに
・市区町村には、家庭から出る食品トレーやおもちゃや文具、ハンガーなどのプラごみを資源の一括回収を努力義務
・飲食店やコンビニなどの事業者には、使い捨てスプーンやストローの有料化を含めた代替品への切り替え、受け取りを辞退した人へのポイント還元といった具体的な削減策を義務付け
怠った事業者には改善を勧告・命令し、従わなければ50万円以下の罰金を科すことになります。
これだけでも随分、プラスチックごみ削減に向けた日本の取組も前進したかのように見えますが、世界的にみるとまだまだのようです。地球規模のプラスチック削減の包括的な解決に向けて日本政府に対して「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」が
「法的拘束力のある国際協定を早期発足させることに最大限の貢献を行う」とともに、「プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような『基本法』を早急に制定し、その下で総量の大幅削減を前提に実効的な対策を導入すること」
と共同宣言を行っています。
持続可能な地球環境に向けて、私達がすべきことできることはまだまだ多いですよね。いずれにしても一步前進したことは評価すべきことです。