人財育成:任せる
「結局、自分でやった方が早いんです」、「まだどうせできないから」、「任せても時間の無駄」...できる上司やスーパープレイヤーにありがちなことの一つ、自分ひとりでやってしまうこと。その選択しかなければさっさと片付けた方がよいですが、育成する立場やマネジメントの観点からすると、自分が触れずして、どれだけ手渡せるのかが問われてきます。どうしても任せられない上司の方に向けて綴ってまいります。
任せると丸投げは違う
管理職やチームリーダーの研修や個別セッションの中でもよく耳にするのが、「自分でやった方が早いから」という理由で仕事をふれないということです。いわゆる優れたリーダーやスーパープレイヤーであった方に多く見受けられます。また、たとえ任せても思いどおりにできてなかったり、まだそれができるほど育ってないから、と相手に期待していない言葉も理由としてあがってきます。果たして本当にそうでしょうか?
そもそも「任せる」とは
仕事などを他にゆだね、その好きにさせる
組織においては、その目的や目標を達成するために使われるので戦略や手段など状況において「任せる」とはその範囲があることは前提です。
英訳では
leave something to somebody
trust somebody with something
自分の手にあったものを誰かに渡す、信じて委ねるという感じでしょうか。
とすると、任せるとは相手との信頼関係の上に成り立つ行為でもあります。そして任せる相手の能力や経験レベルといったものを見極めた上で、それにあった範囲を委ねるということです。また任せる内容について任せる側がある程度できる、または予測がついていることであることもポイントです。全く予想がつかないのに、部下に「好きなようにやれ」と委ねたのにも関わらず、結果についてとやかくいうのは「丸投げ」に過ぎません。
もちろん専門外、領域外だからプロに任せる、といったような場合は別です。がその場合も、ゴールのイメージや進捗のタイミングなど事前に全体像のイニシアチブをとるのは、あくまで任せる側にあることを忘れずに。
任せるのメリット
「任せる」ことは、タイムマネジメント上でも身につけたいスキルのひとつです。なぜならば管理職としてやるべき仕事に人的マネジメントは重要だからです。目の前のことに日々追われる仕事のススメ方では、中長期の戦略や組織の方向性といった大事な舵切りの際に本領発揮ができなくなってしまいます。そのために身につけるものが「任せる」というスキルです。
任せることのメリットは、以下の3つです
1.部下が育つ
任せるといっても、すべて任せるというわけにはさすがにいきません。部下一人ひとりに応じて任せる範囲も様々です。一方の任せられた部下は認められたという承認感や自信といった自己効力感が高まります。それに応えようと主体的に動き、結果、成長速度を早めることにつながります。
2.チーム力がアップする
次期リーダー育成を兼ねて段階的かつ包括的に任せる場合、断片的にある領域に特化して任せる場合とそれそれに応じて、また一人ではなく複数人に委ね相互に補完しあう状態をつくることでチーム力がアップします。その際には、お互いの任せられた領域の枠が理解できていることもポイントです。
3.目標達成が早くなる
管理職として、いわゆる第2領域「重要だけれど、緊急じゃない」の時間を増やし、そのための行動を重ねることは目標達成に直結します。状況を俯瞰し、プラン変更や中長期の戦略の実現に向けた動きが強化されます。自分が早いからと現場で仕事に追われていては、管理職としての役割を放棄していることにもなります。
「任せる」は育成につながり、組織を強くする
育成に関わる上でも大事にしたい言葉のひとつ、山本五十六の名言です。
やってみて、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず
やっちえる、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず
結論からいうと、やはり「させなければできない」につきるなあと。本当はできる、むしろ、よい結果を出せるかもしれないという可能性に対して、上司がその機会を奪っていることも多いもの。最初のうちは不慣れで、失敗を繰り返したり、思うようなスピードでないこともあるかもしれませんが、それらを繰り返して成長するのです。
ただし任せる領域や分量を見誤っては、部下をつぶしてしまい兼ねません。任せた後放置するのではなく、適度なフォローやその仕組みをつくることも忘れずに。部下は育つ存在であることを信じて、任せるを!それが結果的に組織を強くし、全体を豊かにしていきます。
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