分裂家族
今はいろんなものが多様化しているような気がする。
それはプラスにもマイナスにも動いている。
性別にもいろいろあって、性別の欄に、男・女の欄だけだった昭和時代の私。今年子供の学校の個人情報のアップデートの記入で、ペンを止めた。
「男」「女」「トランスジェンダー」「不明」
・・・・・・・。不明???
子供に聞いてみた、不明って??そう、そのままの意味。自分の性別がイマイチわからない。という。
体は性別を表していても心がわからない。という事らしい。
そして今もっと多様化しているのが家族の形。子供のクラスの半分以上が離婚経験家族。
離婚経験家族。そう離婚した家族ではなく、離婚して、次のパートナーと暮らしている、もしくは再婚している、ということ
日本でも言われているステップファミリーという、再婚して、そしてまた子供が産まれた新しい家族という形。
初婚で家族を作ったというカップルと同じ数だけステップファミリーが存在している。私の見る限り、みんな二回目の結婚(と思う。苦笑)で幸せに暮らしているし、その子供たちも両親の家を行き来している。
芸能界でもそれも普通に出てきて。再婚組が出てきたり。そして二度目の結婚ってみんな幸せになっているよね~という記事を先週どこかで見かけた。
その中に、先日亡くなった竹内結子さんの名前も載っていた。
離婚し新しい家庭を築き、そして子供が生まれる。特に一人で頑張ってきたお母さんにはお疲れ様、の瞬間でもあるし、同じ女として、よかったね、と思える。一人でお父さんお母さん二役は本当に大変だと思う。私の周りにシングルマザーが多いので、本当にわかる。
でも一方で、お父さん側は、さっさと相手を見つけ、子供もすぐに生まれたりしているケースが多い。そして「新しいお母さんはいい人だよ」とみんな口をそろえて言う。
自分の子供がまだ小さいころ、近所やバス停が同じお母さんの子供を見ることがあった。大抵シングルマザーや働き始めのお母さんの子供たち。
当時小学二年生だった男の子を放課後数時間預かっていた。口数の少ない子供で、彼の大好きなプレスラーのフィギュアを見せてくれて、名前を覚えられない私をよく、笑っていた。その子がある日、「来月、弟が生まれるんだ」とつぶやいた。お母さんを知っている私は、頭が混乱していた。もちろん子供を二人産んだ、彼女のおなかは「母ちゃんのおなか」だ。でも妊娠、それも出産間近には見えない。「そうかあ。あ、でも弟だったら、このフィギュアで遊べるよ!」と元気づけようとする私に、「あんまり嬉しくない」と。
彼のあの時の、彼の目が今でも忘れられない。
嬉しくない理由は、赤ちゃんが生まれるからお父さんとはしばらく会えないから。お父さんが大好きだけど会えなくなるから、嬉しくないんだ。と。
私は涙をこらえるので精一杯だった。よく明日はお父さんの家に行くんだ!!!と嬉しそうに、教えてくれたJ君。J君のお母さんには当時ボーイフレンドがいた(現在夫になっている)。彼はとてもいい人で、バス停に来るのは朝は必ず彼。お母さんが家のことで忙しい朝は彼が来る。お迎えはお母さん。夏時間冬時間の私の腕時計の時間変更は彼の仕事。笑。J君の宿題も教えているようだし、集めているフィギュアも、彼と一緒に集めていると教えてくれたこともあった。
J君と、キャッチボールをしているところをよく見かけたり、明日はボーリングに行くんだーー、と嬉しそうにJ君が教えてくれたこともあった。それによく二人でコンビニに行く姿も見かけていた。楽しそうに話す二人は姉弟にも見えるほど。
でも、J君は心に影を差していた。あんなに、よくしてくれる、お母さんの彼でも埋められない「本当のお父さんのスペース」というのがあるのがわかった。
そしてこういうのはJ君だけではなくて、他の子たちも、そうだった。
夫のいとこも、子供をもうけた彼女と別れ、別の女性とさっさと子供を作った。そしてお母さんサイドは、しばらくしてから結婚し、数年前に子供が産まれた。その最初の子供はうちの子にこう打ち明けた。
「私はお母さんと住みたいの、もう、お父さんのとこはあまり行きたくないんだ。知らない人の子供の面倒を見たくないんだもん」
この子は次の彼女と子供ができるまで、お父さんを独り占めだった。とにかく溺愛し、海外旅行は年に数回。夏のキャンプは毎週。彼のフェイスブックには、とにかく二人の写真が沢山あった。のに。彼女ができてから、この子の写真は半分以下。今では弟の写真がちりばめられ、姉弟写真と無理やり取らされ感あふれた写真がつけられていた。
でも、このいとこ、私たちに言った言葉は「娘はうちの彼女になついてて、本当のお母さん以上に好きなんだよ。娘も弟ができたって喜んで、すっごい、いい姉なんだよ」この言葉の後に、出てきた「知らない人の子供の面倒」に私は衝撃を受けた。本当のお母さん以上に好きなのに、知らない人と言っているのをこのお父さん見たことないんだろうなあ。
親の勝手なのか、希望なのか、子供がどうしてそんな真逆に映るのか。
答えは一つ。「子供が親に気を使っている」のだ。彼らは一枚上手なのだ。すごいな、と思う。自分にはできただろうか。多分私はそこまで大人ではない。
けれど、私は親の新しい生活を否定する気もない。新しい家庭を築き、幸せな環境で生きていけるのならば、素敵なことだ。そしてその中で、子供を愛情いっぱい育てられるのであれば、いつか、子供も、「悪くないかも」と思える日がくると思うのだ。
でも、一つ私はこの親たちに願うことは、そして自分がそうなったとしたら(もう子供を産む年齢ではないので、ならないけれど・・・・)SNSはしないか、プライベートにする。と思う。幸せな生活は「発信」しなくてもいいのだ。SNSは家族、身内でシェアして子供の成長を見せることができればいいのじゃないか、と思う。ママタレという職業なら別として。
それは前の結婚でできた子供へのリスペクトだと、思う。いくつか芸能界でもそういう人がいて、前妻の子供を語ることなく、新しい家族の写真や話をしている人がいる。幸せすぎて、自分の夫の元妻との間の子供への配慮ってないのかな、と思う。まして多感な年ごろになってくると、子供って難しい。まして自分も同じような子供がいるのに・・・・。
インターネット時代、見つけることは簡単だ。
「男って・・・」と一言で片づけることかもしれないけれど。
ある野球選手の奥さんは最近ブログを始めた。彼女自身も連れ子を連れての再婚。ほとんどがのろけだとか、子供たちと旦那さんの遊んだ話。
彼女のブログを見て思った(ニュースで読む程度だけれど)どんな気持ちでこの人は発信しているのだろうと。自分の前の夫との間の子供と同じ年ごろの前妻の子供たちの事考えたことがあるのかな、それとも自分の子供は、あまり繊細じゃなくて、今幸せだから、向こうもそうだろうな、と思っているのかな、と。
難しい年ごろを持つ母親として老婆心ながら、前妻の息子ちゃんたちを応援したくなる。
そもそも「ママタレ」という職業でなはいのなら、発信する意味があるのだろうか。それも自由だけれど、でも、「夫の前の奥さんの子供」がいるという環境であるならば、「大人としての配慮」って大事なんだじゃないかと、強く思うのだ。
人生の選択は本当に自由だ。特にこの新しい時代はそれが当たり前だ。とてもいいことだし、生きやすい世の中だと、私も思う。
でも、どんな時代でも、「大人がすべき子供への配慮」というのがあると思う。どんな時代でも子供は守られるべく存在だと思うのだ。
それは身の安全もそうだけど、心の健康もそうだ。
子供たちもいつか自分の育った環境を理解し、面白おかしく思い出せる日が来るのも事実だけれど、でも、できれば、「心に傷」ができるようなことはしたくないな、と思う。不必要な傷、だ。成長過程で必要な経験ではないということを大人は理解し、配慮すべきだと思うのだ。これは強く、私は思うのだ。悲しい子供たちの顔を見てきたからこそ、思うのだ。
私の前の彼も、母親の三度の結婚離婚で、姉弟ごっちゃまぜ。妹さんたちはあっけらかん。一番下のティーンの弟だけが、複雑な家庭環境に涙する日々だった。でもそんな彼も数年前に、弁護士になり、もうぴーぴー泣いていることはないと言っていた。でも、この彼の兄弟たちには「居場所」があった。お母さんの選ぶ殿方は、フウテンな人ばかりだからか、「もう一つの家」というのを持たない人だったのだ。お母さんがみんなを育てた。力強く愛情を沢山かけて。連れ後、自分の子、分け隔てなく。写真は全て子供たちの集合写真、誰かがかけていると、「あ、トイレ行ってたのかも」のノリだった。笑
ステップファミリーというけれど、私は分裂家族、と思う。あの細胞分裂の図を思い出す。細胞は分裂を繰り返し、新しい細胞として生まれ変わる。あのアナトミーの教科書の図を。
みんなが幸せになることが大事。でも、やっぱり子供たちが笑って暮らせる社会であってほしいと子供を持つ母親として、思うのだ。ボランティアで学校で子供たちと触れ合う大人として願うのだ。
子供の笑顔は本当に大人を元気にしてくれる。社会の元気の素とも思う。そのお手伝いができるのは嬉しいことだし、ありがたいことだと、最近子供が大きくなってきたせいか、思うのだ。
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