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海が見たくてひとり伊東・熱海へ🎐-2023夏青春18きっぷの旅①-

この夏、人生で初めて「青春18きっぷ」を買った。

多くの人と同じように、てっきり18歳以下しか買えないプレミアムチケットだと勘違いしていたのだが、たまたまYouTubeで18きっぷを利用して旅行をしている大人を見て、万人が買えるものなのだということを知った。

青春18きっぷは、端的に説明すれば、1日2,410円で日本中のJR線が乗り放題になる魔法の切符である。

これが5回分ついており、有効期限内であれば自由に日付を選んで利用することができる。

とにかく遠くへ行くもよし、これまで足を踏み入れたことのない少し遠めの近場に行くもよし、使い方は自由だ。

日帰りで利用するならば、理論上、片道あたり¥1,206円以上の場所に行けばお得になるが、この切符は普通の切符と違い、途中下車を自由にすることができるので、例え片道の値段が1,206円以下だとしても、途中下車を挟むことでお得に利用することも可能である。

今年の夏、そんな青春18きっぷの存在を知り、これは買わねばならぬという衝動に駆られ、特に行く場所も決めないままノリで購入したのである。

有効期間は夏の間だけ。
さて、どこへ行こうか、何をしようか。

せっかく夏だし、ぱっと海が見たいな。
そんな考えが頭によぎる。

そうして目的地を考えた時に、まず一番最初に頭に浮かんだのが、静岡県の「熱海」だった。

熱海は温泉と海の街である。

リゾート地でありながらも、昔からの古い建物やレトロな雰囲気が残っていて、気分転換にはもってこいの観光地である。

しかし、ひとつ問題があった。

それは、すでに私が熱海に何度か訪れたことがあるということだった。

せっかくならば、初めての場所に訪れてみたい。

そういうことで、熱海からJR伊東線に乗り継いで行くことのできる「伊東」という街を最初の目的地に設定したのだった。

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土曜日、朝早くに家を出発。

JR東海道線に乗り、熱海駅に向かう。

途中、車窓から見える海に高揚感を覚える。
これぞ旅のワクワク感。
窓の小さな汚れはご愛嬌。

そうだ。ここで、今回の旅のお供を紹介しておく。

実は、数ヶ月前にフィルムカメラを新調した。

これまでは、可愛らしいおもちゃのような
フィルムカメラ(kodak m35)を愛用していたのだが、韓国にいる間に故障してしまい、そこからはしばらく使い切りのカメラを使っていた。

今回、社会人にもなったしということで、少し奮発して、カメラをグレードアップさせたのだった。

ちなみにこのカメラはこの日がデビュー日。
今回のお供は18きっぷとフィルムカメラ。
よろしくね。

ということで、カメラと切符を片手に電車に揺られること約2時間、車窓に惚れ惚れしていたらいつのまにか熱海に着いていた。

熱海に降り立つのは2年ぶりである。

懐かしいと思いながら、まずは目的地である伊東に向かうため、JR伊東線のホームに向かう。

あらかじめ乗り継ぎの時刻を確認していたため、すぐに電車が来る。

熱海から伊東までは20分少し。

車窓からはまたまた海が見えるため、景色に魅せられている間に気づけば到着している。

12:00、やっと目的地「伊東」に到着した。

初めての18きっぷ。
大切にカメラにおさめる。

ここからはノープランだった。

「海が見たい」

ただその一心でここまで来たのである。

とりあえずは電車から海を楽しんだところだったので、地図上でたまたま見つけて気になっていたとある場所に向かった。

駅前の通り。
レトロな雰囲気にきゅん。
どうやらこの辺りは干物が有名らしい。
海老が干されているのは初めて見た。

駅から20分ほど歩いて、目的地に到着。

「温泉旅館 東海館」
なんと昭和3年(1928年)開業。
100年近い歴史を持つ建物である。

別に詳しいわけでもなんでもないが、私は明治、大正、昭和初期あたり(戦前)に造られた建築が好きだ。

なんとも言い難いが、美しく、見ていて惚れ惚れする。

ということで、ドンピシャなこちらの建物を見に行くことにした。

「東海館」は1928年に開業した温泉旅館で、1997年にはその歴史に幕を閉じたものの、現在は文化施設として、旅館や伊東の歴史を学べる場所となっている。伊東市の文化財にも指定されている。

とっても"いい"旅館。
タイムスリップして泊まってみたい。
館内は基本的に薄暗いが、
窓からの彩光が上手く取られており
それがまた美しい。
建物の一番上には展望室が!
海風が入ってきてとっても気持ち良い。
もちろんここからも伊東の海が見える。

200円で30分ほど館内を見てまわった。

ちなみに行ってから知ったのだが、こちらの大浴場は未だ現役で、土日祝には日帰り入浴も可能だそう。

今回は時間の関係でパスしたが、館内には喫茶も用意されており、館内を見学した後にお食事をし、最後にお風呂に入れば、最高の滞在となるに違いない。

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さて、心ゆくまで昔の建物を楽しんだ後は、お目当ての海まで行ってみることに。

東海館を横目に、
川沿いを海に向かって下って行く。

今年の夏は異常に暑かったが、この日も例外でなく、汗は止まらないし、喉もずっと渇くしで身体は暑さに負けそうになっていた。

しかし、不思議なことに、川のせせらぎ、ひぐらしの鳴き声、風に揺れる木の葉の音を聞いていると、すうっと涼しくなっていくようであった。

ただ水が流れていくのを見ているだけで涼やかに感じるのだから、自然とは凄いものだ。

歩いて10分弱ほどで海辺に到着。
いつ時も海を見ると心がワクワクする。

海辺まで下ってきたが、なんと私1人しかいない。
砂浜まるまる貸切だったのである。
なんという贅沢であろう。

眩しい海の青に夏の白い雲。
そう、私が見たかったのはまさにこの光景だ。

暑さなどなんのその、海辺の大きな石に腰掛け、しばらく波の音に耳をすませていた。

もう少し海の音色に身を任せておきたいところだったが、暑さと空腹に限界が来たため、涼しいごはん屋さんを探しに行くことにした。

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とりあえず駅の方に向かって歩いていくと、ひっきりなしに人が出入りしているお店があったので、入ることにした。

まるげん

すでに13:30だというのに、店内は満席であった。
これは期待できる。

壁のメニュー表に目をやると…
癖が強い…!!
25kgのマグロを釣った…?
店長が…?

なんだかすごいお店に入ってしまったようだ。

黒潮丼(¥1,150)と
秋山店長のまぐろ(¥300)
まさしく
「秋山さんありがとう!」
の気持ち。

黒潮丼は、すっかり忘れていたが東海地方特有の濃いめの味付けで、関西人の私には新鮮な味だった。

なによりも海鮮が美味しかった。

丼の上の魚たちは全部ぷりぷり、店長が釣ったまぐろももっちもち。

大満足である。

お会計の際に、お兄さんが「僕が釣ったマグロどうでしたか?^^」と声をかけてくださった。

どうやら、秋山さんが直接お会計を担当してくださったようだ。

1人でふらりと旅行に来たことなど、少しだが会話を交わした。

こうした地元の人との何気ない会話が一番楽しく思い出に残るものである。

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お腹も心もいっぱいになり、近くの商店街を散策することにした。

そこで偶然、こんな看板を見つけた。

なんと今日ここで花火大会をするらしい!
これは行くしかない。

たまたま商店街を散策していたら、たまたま今日伊東で花火大会が開催されることを知ったのだ。

なんてラッキーなんだろう。

せっかくならと見て帰ることにした。

花火までかなり時間があるため、一旦熱海の方まで戻って散策してみることにした。

駅の方まで歩いているとなにやら人がたくさん入っていくパン屋さんを発見した。

パン屋「サザンカ」
伊豆の名産品を使ったパンが多く並ぶ。
どうやら伊東の有名店らしい。
美味しそうな塩パンと
ジャリジャリの砂糖がかかったパンを購入。
このお店も癖が強い。

駅まで戻ったが、電車の時間までまだ余裕があったので売店をのぞいていると、不思議なものを発見した。

「あの懐かしのポリ茶」…?
ポリ茶とはなんぞや。

すぐに家族にLINEをしたら、昔よく駅弁と一緒に売っていたお茶だと教えてくれた。

なるほど、ペットボトルがない時代はこんな風にお茶を売っていたのかと感心した。

読者の方の中にもこのお茶を知っている方はいらっしゃるだろうか…?

せっかくなのでポリ茶を購入。
(ちなみにパンは写真のために出しただけで、
ここでは食べていない。)

持ち手が細く、少し不便な気もしたが、形状としてはほぼペットボトルと同じなので、飲みやすさに変わりはない。

しかも、ティーバッグが入っているので、水かお湯を注げば何回でも飲めてしまう。

昔はこんな風にお茶を売っていたなんて、また新しい知識を得ることができた。

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レトロな気分を味わいながら
熱海方面へ。

どこで降りようか迷ったが、熱海駅の1駅手前である「来宮駅」で降りてみることにした。

三角州のような不思議な場所にある
「来宮神社」
威厳ある佇まい。
神社の前にあるトンネルが
まるでジブリに出てきそうな雰囲気で
かっこいい。

来宮神社に関する知識も何もないまま来てしまったが、調べてみると全国に44ある「キノミヤジンジャ」の総社で、その歴史は諸説はあるものの、約3000年にものぼるらしい。

神社の中は心なしが涼しく、
背筋がピンと伸びる。
本殿の前に落ち葉がハート型に集められていた。
可愛い。
本殿の横には鯉たちが優雅に泳ぐ池が。
なんと美しいのだろう。
樹齢2000年を超える御神木の「大楠」
まるでトトロが出てきそうな木だが、
近くまで行くと不思議なパワーを感じる。

なんとなく有名っぽいという軽い気持ちでやってきてしまったが、たくさんパワーを受け取ることができ、行って良かったと感じた。

花火まではまだ時間があるので、歩いて熱海まで行ってみることにした。

海の見える街。
坂が多くて大変だが、
その分景色は別格である。
「熱海サンビーチ」
海で楽しむ人々を見ながらひと休み。
海が見える喫茶店「サンバード」
いつか行ってみたい。
熱海はやっぱり
レトロな雰囲気が残っていて
非常に魅力的。

熱海には久しぶりに来たが、やはりこの街は魅力的である。

歩いているだけで楽しい。

なんやかんやぶらぶらと歩いていたら、いい感じの時間になったので、伊東駅に戻ることにした。

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電車から見える景色も
すっかり夕方の色に。
夜(夕方)の東海館も趣があってよい。

この時点で時刻は午後6時。
花火大会の開始時刻は20時30分である。

花火の打ち上げまではまだ時間があるが、少し早く戻ってきたのには理由があった。

「夕涼みわくわく市」
THE•地元のお祭り。
堂々と1人で参加。
誰も顔も名前も知らない場所である、
怖いものなど何もない。
なお、観光客らしき人は私以外見当たらなかった。

なんと花火のみならず、小規模ではあるもののお祭りをやるというのだ。

こんなの行かないわけにはいかない。

おひとり様行動には慣れた私である。

ひとりラーメン、ひとりカラオケ、ひとり映画ができるなら、ひとりお祭りだって可能である。

(本音を言うと、あまりにも地元のお祭りすぎて、少し周りの目が気になったが。)

から揚げをつまみつつ、大道芸の方のショーを見ながら1時間ほどお祭りを楽しんだ。

さて、そろそろ行かなければならない場所がある。

海辺で見る夕焼け。
東向きなので太陽こそ見えないが、
刻一刻、変わりゆく空の色に
うっとり見惚れる。

昼間に来たあの砂浜だ。
やはり夕方になっても私1人しかいなかった。

こんなに美しい景色を独り占めできるなんて、なんと贅沢であろう。

防波堤に腰掛け、空が暗くなるまで目一杯夕焼けの空を楽しんだ。

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花火大会まではまだ1時間ほどあったが、すでにお腹もいっぱいだったし、なにより花火大会の場所取りをしておきたかったので、そのまま防波堤で座っていることにした。

途中、花火大会のために警備員の方がいらっしゃったので、ここで花火を見てもいいかきちんと確認し、大丈夫との回答をいただいたので、そこで待つことにした。

都会、というかこれまで私が行ったことのある花火大会は、開催の数時間前から場所取りをするのが当たり前であった。そうでもないと人に埋もれて花火など楽しむことができないからだ。

しかし、この花火大会は違った。
なんと、開始30分前になっても全然人が来ないのである。

あまりにも人が来ないものなので、ここからは花火が見えないのではないかと不安にさえなった。

開始10分前、ようやく人が集まり始めた。
一安心である。

20:30。
ついに一発目の花火が上がった。

あまりの近さに
思わず声を上げて驚いてしまった。
この防波堤は特等席のようだ。

花火を見るのは2年ぶり、それもなんと伊豆で見たぶりである。

こうしてコロナが明けて、再び伊豆で花火を見ることができたのは運命だろうか、なんて考えながら。

次々に咲き誇る花火。
あまりの美しさに
思わず涙が出そうになる。
クライマックスの1分間は
息をするのも忘れるくらい
連続で花火が上がり続ける。
締めの1発は
カメラにも収まらないほどの
大きな大きな花火。

約20分の間、約1000発の花火が空を彩った。

きらめく星々の間に咲きゆく花火。
同時に、耳には心地よい波の音が入ってくる。

花火はいつ見ても美しいものだが、ここまで感動した花火は初めてだった。

就職してから知らない間に抱え込んでいたストレス、ここ数年続いていたコロナによる様々な規制など色々なスパイスがあったのかもしれないが、つい涙ぐんでしまうほど、この日見た花火は美しく、感動的だった。

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こうして、「2023年夏 青春18きっぷの旅 -熱海・伊東編- 」は大成功のうちに幕を閉じた。

旅のワクワクを久しぶりに感じることができ、心底伊東・熱海に来て良かったと思えた。

金銭的にも時間的にも、やはり社会人をしていると色々な制限があって、あまり遠出はしなくなってしまう。

だけど、今回久しぶりに遠出をして、旅の面白さを思い出すことができた。

この興奮をあと4回も楽しめるとは、青春18きっぷ様々である。

書きたいことが多すぎて、旅から2ヶ月経っての執筆となってしまったが、まだまだ青春18きっぷ旅行記は続くので、楽しみに待っていてもらえると嬉しい。

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