『エリオスR』背景制作について
はじめに
『エリオスライジングヒーローズ』チーム(以下・エリオスR)の背景イラストレーターのK.A.と申します!
主にカードイラスト等の背景制作を行なっております。
今回私はエリオスRの背景制作過程についてご紹介させて頂きます。
初めての記事制作なためお見苦しい点あるかと思いますが、なるほどこんなことをやってるんだなーと思っていただければ幸いです!
また、カードイラスト制作工程に関しての全体的な流れは実は2020年のアドベントカレンダーで紹介されています。
もし興味がありましたらこちらもぜひご覧ください!
背景イラストレーターのお仕事
これは私自身が心掛けている点なのですが、背景イラストレーターの仕事はキャラクターをどう魅せるかを考えることが重要だと思っております。
エリオスRは特に戦闘シーンが多く、かっこよさやスタイリッシュさなどを重視したシーンが多いなという印象がありますね。
そのようなキャラクターの『かっこいい!』『かわいい!』たまに『これはセクシーでは...?!』な部分を最大限活かすため背景は必要不可欠で、イラストを2.5倍良いものにするための重要なパーツだと思います。
そんな背景を通してキャラクターをもっと魅力的に伝えること、あわよくばこのシーンすごく好きだ...!と思ってもらえるようにと日々精進しております。
そして今回ご紹介するイラストは、今年8月末に開催しました 「Fight out vivid colors!」 の★3ヒーローカードのジュニアくんです!
担当させていただいたこちらは、ジュニアくんが水(インク?)鉄砲を構えているシーンですね!
背後にあるカウントダウン表示や壁についたインクなどが特徴的なカードイラストです。
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制作開始
ということで、制作に取り掛かります!
構図、キャラクターのラフが決まっている状態をいただき、ここから背景イラストレーターの仕事が始まります。
早速キャラクターイラストの担当さんからジュニアくんのラフが届きました。
まだこの段階だとどのような場所で何をしているのか、という状況がわかりません。
なのでここからが背景イラストレーターのお仕事、ジュニアくんのイラストに背景を追加していきます!
1.ラフ制作
まずシナリオの概要を読みシチュエーションを理解します。
正直私はここが一番苦手でありとても悩む工程です...。
大まかに背景に対する要望は
『サイバーアニマルパニック!』とは違う退廃的で治安悪そうな感じ
とのことでした。
『サイバーアニマルパニック!』ではこのようにサイバーパンクな要素や蛍光色などが多く使われSFチックなイメージが多かったため、そちらと対比して想像していきます。
ここで余談です!
普段私たちが背景のお仕事に取り掛かる際『まず何を描けばいいのか?』
という段階で、私たちは最初にストーリーを作るシナリオライターさんやキャラクター担当のイラストレーターさんに共有していただいている制作物を確認します。
シナリオライターさんにストーリーの世界観イメージやプロット(物語のあらすじなど)、イラストレーターさんからはシチュエーションや構図など。
指定された背景がすでに他のシーンで使われていたり、同じ世界観の背景があったり、恒常背景(キャラクターのお部屋やタワーの中など)だった場合はそちらの確認も必要ですね!
今回は先ほどのようなイメージの共有をしていただいていて、私自身が好きで得意なイメージだったためとても発想しやすかった印象です。
逆に私の苦手な要素が指定された場合はと.....っても悩んでしまうことが多いので、資料という名の材料集めをすることは重要だと思っています...!
ということで、他のシナリオで使用された背景や設定の整合性を見ながら、背景のイメージを最初にいくつか上げてみるとこのような感じになりました。
路地裏
換気扇
アルミ缶
配管グラフィティや落書き
インクがたくさん
想像するのはまさにグラフィティや落書きが多く、少し廃れた高架下などですね!
『サイバーアニマルパニック!』より全体的に彩度が低めなイメージを持たせて違いを出しました。
これらは基本的にエリオスの背景を作る際に参考にさせていただいている作品なのですが、『Detroit: Become Human』や『Marvel's Spider-Man』など、ゲームをしている時とてもイメージに近いな!と思いました。
どれも本当に素敵で有名なゲームなので、興味がありましたらぜひやってみてください!
そして案出しや資料集めに普段1,2時間ほど使用し、イメージが固まってきたら次にラフを描いていきます。
私は今回、路地裏、換気扇などの要素に追加でイベント特有のインクまみれなイメージを入れてラフの制作に取り掛かりました。
物陰に隠れ、敵(?)からの攻撃を避けているような...!
そんな状況をイメージして、インクをたくさん飛ばしグラフィティをいくつか壁に追加し、イベント要素を多めに制作してみました。
ラフの制作にかかるのは、案出しや資料集めを含め8~12時間ほど。
悩めば悩むほど時間がかかってしまいがちですが、一旦これにてラフは完成!
次にこちらのラフを先輩方に確認していただきます。
2.修正
先輩方の反応は主にこのような感じでした!
ありがたいお言葉...!
明暗差をはっきりとすると物陰に隠れ好機を狙っている様子がわかりやすくなりますね。
ホログラムがあるとより良くなる、というアドバイスも近未来な世界観のエリオスRならではです。
また、もう一人からこのように奥行きを作るのはどうかとのアドバイスをいただきました。
実はこのラフの制作前にもう一案作っていたのですが(正直とてもとても迷走していたので没にしてしまいました...)、その際に使ったラフが使えるのではとのご提案でした...!
確かに画面の左半分に遠景を追加したことにより、遠近感がより出るようになったと思います!
では次にこれら修正とアドバイスを経て、清書の方へ取り掛かっていきます。
ここから密度をどんどん上げていく作業です。
3.清書〜完成
先輩方にいただいたアドバイスのもと加筆修正をしていきます。
インクの描写密度を上げリアルに、ホログラムはゲームの残り時間表示をしてみる、少し退廃的な雰囲気を作るため建物の影に入る光や遠景のぼかしなどで少し "エモ" な表現を加える、など。
また背景制作の際、私はいくつか3D素材を使用することがあります。
このような簡易的な素材になりますが、blenderなどを使用し作成しております。
これらは主に背景制作時の少し複雑なモチーフや、形だけであれば3Dに加筆した方がスピードアップにつながるのでは...?という時によく使用され、事前に用意してるととても便利です。
右上のものはどこのリビングか、司令の皆様にはわかるかもしれませんね...!
ダストボックスはレッドサウスの背景などに時折使用されているので、よければ探してみてください!
というわけで、このように加筆修正が完了しました!
エモと緊張感がある背景になったかなと思います!
今回は清書に約12時間ほどかかりました。
背景制作の際、完成までには大抵2~3日を使用します。
相互チェックを徹底し、アドバイスをいただきながら進めていくこの作業、やってる時はとても果てしない感覚もありますが、出来上がったものを見ると本当に『ここまでこだわってよかった!!』と思います!
この後加工担当の方にデータをお渡しし、加工をしていただきカードイラストの完成となります。
よければゲーム内でもじっくりとご覧ください!
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さいごに
以上が背景イラストレーターのお仕事になります!
背景というものは決して注目される仕事ではありませんが、背景がなければキャラクターが何をしているのか、どのような状況なのか、何を見ているのか、そういったものは伝わりません。
私はキャラクターが生きる世界を作る、それが背景イラストレーターという仕事だと思います。
そして少しだけHappy Elements株式会社に入社した経緯についてお話しさせていただければと思います。
私は大学1年生で弊社がアルバイト募集をしていることを知りました、5年前の今頃になります。当時私は『メルクストーリア』が大好きで、ほぼ毎日のように熱中してゲームをし続けていました。
そして
『Happy Elementsに入れたら、一番身近で自分の好きなイラストが見れる...!!』
などという邪な考えのもと突撃したのが...そう、この私です。誠に愚かですね!
我ながら過去のイラストは恥ずかしさが勝りますが...私が5年前にこのような経緯で入社し、人生ではじめて『ゲームをユーザーさんに楽しんでいただくため』に描いたイラストがエリオスRの背景として今もユーザーの皆さんの目に映っている思うと、これは本当にこの仕事じゃないとできない経験だったと実感します。
ユーザーの皆さんにはこれからもたくさん『エリオスライジグヒーローズ』を楽しんで、思い出を作っていただけると嬉しいです。
そしてヒーローたちのゆく道を、応援よろしくお願いいたします!
ご覧いただきありがとうございました!
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