私はプロにならない

僕は映像を作って対価を得ているが自分の事をプロと言ったことが基本的には無い。それには理由がある。

映像を始めた若かりし頃、プロの映像というのは基本的にテレビの事を指していた。

僕は海外のスキーやMTBといったアクションスポーツの映像にかぶれていてテレビの番組の決まりきった万人受けを狙った番組を見下しており「俺はプロになんてならない。プロには作れない映像を作ってやる!」とイキっていた。

その気持ちは今でも残っているのだが、20年以上も映像を作っていると自分でもみんなの意見を取り入れて平均的なつまらない映像を作ってしまったなと思うことが多々ある。

今のテレビやウェブといった動画全盛期。現場はとてもクリエイティブで熱気に溢れている。

色々な現場でプロと呼ばれる人たちの働きに触れるにつれ「生意気な態度で本当に申し訳ございませんでした」という気持ちになってしまい、自分の事をプロというのはおこがましく感じてしまうのである。

そういった経緯で自分ではプロと名乗れないのである。

かといってプロと名乗りたいかというと全く名乗りたく無いのである。

Youtubeの再生数を伸ばす為に迎合した映像は作りたくないとか、20年前のヤンチャな自分と変わっておらず相変わらずひねくれている。

自分の作品を作るためにたまにお仕事をいただいているというスタンスであくまでもプロとは言いたく無いのである。

変わったとすれば真面目にクリエイティブなものを作っている人たちへのリスペクトはしっかりと持つようになった点だと思っている。

若いクリエーターにできる唯一の助言はリスペクトばかりしてても面白いものは作れないので「俺だったらもっといいもの・面白いものを作れる」と思い続けて僕みたいなやつを踏み潰していってほしい。


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