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衝撃の出会い

高校生ペアが見せた“異次元”のダンス

大会で出会った高校生ペア。
大輪の牡丹の花のような美しさに目を奪われました。
その柔らかい動き、しっとりとしたフットワーク。
「これがWDSFダンスの本当の姿なのか」
目の当たりにしたその日、何度もビデオを見返しました。

「WDSF のダンスは若者の踊りだ。」 
「シニアには踊れない。」 
「あんな踊り方をしたらシニアは身体を壊すよ。」 
同年代のシニア選手たちは口々にそう言います。私自身もそう思っていました。 けれど、WDSF のダンスはトップが大きく開いて華やかで、あんな風に踊ってみたいと密 かに憧れていました。 
でも、その頃の私は固い踊りをするリーダーと組んでガタガタしながら踊っていました。少 しでもこのガタガタが少なくなるように足を出すタイミングをできるだけリーダーに合わ せてしっとりしたダンスになるようにと一生懸命練習をしていました。 当時は WDSF のダンスを踊るのはトップクラスの若者がほんの少しだけでした。個人的に は憧れていても、現実はとても同じダンスだと思えないようなダンスをしていました。憧れ つつもこうゆうダンスを踊るのは夢のまた夢だと思っていました。 

ある大会で高校生くらいのペアと一緒になりました。WDSF 的なダンスを目にするのはそ の日が初めてでした。その子たちは、固めたボディのシニア選手ばかりの中で、しっとりと したフットワークで大きくトップを開き、ほぼベーシックに近いルーティンを柔らかくくる くると入れかわりながら美しく踊っていました。まさに 1 組だけ全く異質な踊りでした。大 輪の牡丹の花のようでした。 

「やはり若い人でないとこのダンスは踊れないかもしれない。」と、このダンスを目のあた りにしてそう感じました。 
次の日は、撮ってあった試合のビデオを何度も何度も見返しました。それでもその思いは変わりませんでした。 

その頃からでしょうか、トップ選手はもとより上手な若者たちは WDSF 的なダンスを好ん で踊るようになりました。ガチっと固めたボディで踊る日本のほとんどのシニア選手たちの 中で、若者たちはキラキラと柔らかく輝きながら多くの大会でトップを独占していきました。 それを見たシニア選手たちは、エッセンスだけでも取り入れようと、力づくでトップを大き く開き、歯を食いしばってラインを出していました。そのボディやコンタクトや立ち方を変 えることなく昔のダンスのままで。 

外から見ると大輪の花のようなホールドが印象的だったので、シニア選手たちはみんなそこ を必死に真似しました。男性はもれなく女性にホールドを大きく開いて踊ることを要求し、 スローアウェイオーバースウェイではお約束のように女性が勝手に頭をくるっと1回転してから開くのが流行しました。 

→次回:シニアの模倣とその限界


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