【歌会始の儀】が今日、3月26日に行われました。
桜の咲くお濠を背景に、女性アナウンサーの声が流れます。「桜が見ごろを迎えている東京。午前十時の気温は17.8度。やわらかな日ざしが降りそそいでいます。新春恒例の「歌会始の儀」は1月に行われていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期され、今日の開催になりました。
13,657首が寄せられその内10首歌が披露されます。代表者は大幅に減らし、歌を読み上げる人がフェイスガードをつける防止策が行われています。入選者の一人はオンラインを通じての参加になります」。テレビの実況中継です。
天皇陛下以下、全員が白いマスクをしています。例年にない状況のなかで、今日の午前10時半から「歌会始の儀」が、皇居正殿・松の間で行われました。その起源は必ずしも明らかではないものの、鎌倉時代の中期に(800年ほど前)宮中で歌会が行われたという記述があるそうです。明治になって一般の
人の歌も披露されるようになりました。
今年のお題は「実」です。
それをお決めになった天皇陛下の歌です。
人々の
願ひと努力が
実を結び
平らけき世の
到るを祈る
皇后さまの歌です。
感染の
収まりゆくを
ひた願ひ
出で立つ園に
梅の実あをし
広島県 山本美和さん(53歳)の歌は、今の世をよく表しています。
シールドの
向かうの客に
釣り渡す
架空のやうな
現実にゐる
東京都 吉田直子さん(24歳)の歌に共感しました。
空白に
史実のピース
集めても
想ひつかめぬ
歴史のパズル
その動機です。「歴史は書き残された史実だけではなく、この世に生まれた一人一人が積み重なってできたもの。記録されなかったこと、語られなかったこと。歴史の空白にも目をこらし想いを寄せてみたい。そんな気持ちを詠みました」
秋篠宮さまの歌
夏の日に
咲き広ごれる
稲の花
実りの秋へと
明るみてくる
この歌を聞き、秘かに作っておいた歌を披露しようかなと思いました。どこか響きあうなという感じです。
大根の
花のさかりに
実を思ふ
秋風のころ
あひまみえんや
大根が畑で花を咲かせ、実を取って三年目です。この土地に合うものを地味に育成しています。
テレビを見ながら松榮堂の「御題銘香」を聞くのを楽しみにしています。濃い紫色のミニ線香に火をつけその薫りのなかに歌が浮かんできました。
鼻腔(びこう)から
脳の奥まで
透き通ほる
青き実のごと
一筋かをる
写真は包み紙で、三輪晃久さんの「御題銘香・実」の絵です。「実」という言葉から、歌が、お香が、絵などが生まれます。「新型コロナウイルスにより延期がありましたが、宮中の新年の行事はこれで終了します」というアナウンサーの声を遠くに聞きながら、ゆったりとすごした春のひとときでした。
来年のお題は「窓」です。みなさん、応募しましょう。
あなたが幸せでありますように
琵琶湖のほとりの草庵にて 大ざぶろう
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