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【ネタバレあり】ドラマ10「大奥」第4回感想

今回はこれに尽きるのではないか?
「わしは仏をさらってきたのじゃ」
春日局、本当にすごかったです。
(個人的に一番心に響いたセリフは
感想記事の中で書きますね)

そうそう、「私の大奥語り」はまった!
NHK+で見逃し配信見られます。https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2023020529959


では、今回も第4回感想はじまります。(ネタバレありです)

前回の最後で「お褥すべり」を申し出るよう
春日局から言われた有功様。
捨蔵という種付けが上手いと評判の男を連れてくると。
もちろん反対する有功様だが、1年経ってもお子ができぬ、
と春日局から言われ、上様が納得するように
自分の方からお褥を辞してほしいと有功に伝える。
「徳川のためにござりまする」
重いよね…。しかし、この「大奥」では
原作でもドラマでも、なぜここまで春日局が
「徳川の太平の世」にこだわるのかを
丁寧に描いているから、上様や有功様にとって
ものすごくひどいことなのだけど、春日局の言いたいことも
理解できるんですよね。

とはいえ、人間には「心」があるから。
子どもができないから、という理由で
好きな人と引き裂かれるのは何てつらいんだろう。

この提案、上様は拒否。有功に「死ね」と言う。
すると、つらそうな表情で
「いっそ殺して下さい」と懇願する有功様。
上様は「いやじゃ、有功は死んではならぬ」
…どちらにしても、やはり地獄なのだ…。
2人だけで愛し合った日々は、もう続かないのだ。

上様は「私が石女なのだ、誰と添うても孕めまい、
その時は一緒に死んでくれるか?」
この言葉を頼りにする有功様。

捨蔵に所作を教えて、どんな方なのですか?と上様について
訊ねられた有功様は
「この世で一番美しく、尊いお方にお仕えしておるのじゃ」
と答える。
寝所にやってきた上様がきっと思ったより若くてか弱く見えたのか
捨蔵は「大丈夫ですよ」などと声をかけるが
上様は捨蔵を蹴り飛ばし
「そなたがわたしに抱かれるのじゃ」
と。
 
この辺りは、ほぼ原作通りに進んでいました。
細かいところは(捨蔵が有功にそっくりだとか
もうちょっと性格的にも野心家とか、捨蔵に所作教えるのは
春日様だとか、いろいろ)変わってはいました。
やはり、この間の特番でも森下佳子さんの大奥愛を
ひしひしと感じたので、まったく気にならないし
大奥原作の世界観を崩さずに
ドラマとしてのまとまりにつなげているのが、さすがです。

一年後。
姫誕生のお祝い膳を頂く、大奥の男衆。
捨蔵が、お楽の方という名前を上様から頂くが
原作ではちょっとマウント気味に有功様に伝えていたのが
ただ「朗らかなお人柄にぴったり」ということになっていました。

上様の元へ有功様があがると
お子を愛おし気に見つめている上様。
その姿を見て、有功様はただただ、喜んで差し上げたいのに
心に棘が刺さっていて、複雑なお気持ち。
上様は有功様を傍に呼び、人払いをして
「そなたの子じゃ」「ずっとそなたを思うて作った子じゃ」
と告げる。
それでも…有功様の心は晴れない。

お楽の方が怪我をして寝たきりになってしまいました。
玉栄はそのことについて「バチが当たったんや」と言う。
有功様の心の地獄は、お楽の方がどうのこうの、ではない
複雑な因果なので、そんな風にも思えない。
そこに上様がやってきて「春日が良いと言った!」
ここから3ヶ月逢瀬を重ねた上様と有功様だったが
やはり子は授からない…。

春日局が、お楽の方の代わりになる男を見つけてきた。
この頃はまだ家督を継ぐのは男子だから
姫が生まれても、世継ぎがいない状態。
春日局からすれば、上様には頑張って世継ぎをあげてもらわねば、
と考えているのだ。
上様は有功様に「戦国の姫たちもそのように生きてきたのだ」
と、心境が変わり、世継ぎを生む役目を受け入れることを伝える。
でも有功様は…仏様にお仕えしたいと願い
捨ててきたはずの煩悩に、今、苦しんでいる。
もし上様に子どもができなかったら
一緒に滅びる、共に死ぬことができた。
もう今は、それすら叶わないのだ。
上様を愛するがゆえに
途方もない孤独と嫉妬と執着に苛まれている。

般若心経を唱える有功様。
これ、冒頭だけでもちゃんと言えるようにと
福士蒼汰さんが練習していたそうですね。
声色もちゃんと声明になっていたように感じます。
心を鎮めようとしていた有功様
でも、やはりそれはできず。

翌朝、玉栄がやってきたら
部屋の中は刀傷だらけ。
この場面は原作通り(ただしホントはお楽の方の時に
このシーンがあるので、タイミングは違う)でしたが
傷だらけの部屋が、有功様の心の中を表現しているんだな、
と感じます。
 
でも、上様にも、他の誰にもぶつけられず。
玉栄は、そんな有功様に
「なんでも言って下さい」と伝える。
有功様は、自分が上様を母にして差し上げられなかったこと、
独占したいけどできないことを話す。
ここはドラマオリジナルですが、原作とは話の流れが若干
違うからこそ、この場面で効果的に有功様の苦悩を
視聴者に伝えられていたと思います。 

上様は民の生活ぶりを視察に行く。
女ばかり働いていて、男は家で重宝されているとのこと。
「うちの息子、8両でいかが?」という話まで!
でも切実なんです。男子も足りないし。
リアルな様子を見聞した上様。

春日局は危のうございます、と説教。
上様は「ちゃんと世継ぎはあげてやるゆえ」
ちょっと上様の雰囲気が変わったかな…?
と思わせる場面になっていました。
付け焼刃かもしれないが、一揆の機運をくじくために
炊き出しをしてやれ、と正勝に命じる。

お楽の方が悲惨なことになっていました。
動けないお楽の方の、お下のお世話や
身体の向きを交換することなど
部屋子は「知らなかった」と。
新しい部屋子が見つかるまで
有功様がお楽の方のお世話をすることに。
「やりたいんや…」と、少し顔が明るくなっている有功様。

ここで、キャー❣今回の吉宗公タイムです。
「家光公も、お万の方も、己の道を歩き始めたのだな」
この、吉宗公がところどころで
村瀬様と対話してくれることで
視聴者の想いも代弁してくれているように感じます。
素敵な演出。
村瀬様が「時流に乗れないものもいました、それは春日様でした」と。

八朔の際、登城した諸大名の後継者に男装した女子が多いのを見て
六人衆+稲葉正勝は「家督を女子が継いでも良いのでは」と提案。
しかし、春日局は頑なに拒否。
「あの戦国の世をお忘れか!!」
春日局は戦乱の世に逆戻りするのを恐れている。
「もうそのようなことにはならないのです」
と言われて、反論しようとしたところで、春日局、倒れる。

上様がお見舞いに行くと、薬断ちをしていたと。
疑り深い婆じゃ、と言いながらも、とても心配している上様。

誰が春日局のお世話をするか、有功様は私がします、と申し出る。
上様が、でも春日が有功のお世話を受けるかのう、と話していると
玉栄がやってきて「お楽の方様が赤面疱瘡に!」
であれば、これをうまく使って、春日局を説得しようとする有功様。

春日局に、お楽の方のことを願い出る有功様。
それは構わぬが、そなたが赤面にかかったらどうするのだ?
と訊ねる春日局。
「種なしは大奥で無用でございますから」と。

そなたをやりこめた婆のみじめな姿、と自分を嗤う春日局に
有功様は「私がしているのは嫌がらせですから、
世話になっておるとは思わずに」と伝える。
素直に受け入れる春日局。

写経をしている有功様に、春日局が問いかける。
「誰よりも憎き婆であろう 私を殺そうとは思わないのか」
有功様は
「回り道をしましたが、坊主になるという本懐を遂げた気がいたします」
里修行の極みのような場ですものね、ここ。
「春日様こそおつらくはなかったのですか?
鬼でもなければ平気なはずはございますまい」
と訊ねる有功様に
父・斎藤利三は明智光秀に与した咎で、自分の目の前で磔になり
方々に追われ、いつどこで殺されてもおかしくなかった。
月がのぼるのを見て、ああ、今日も生き延びた、と思っていたと。
戦はいつ果てるとも知らぬ不毛な戦い。
終わらせて下さったのが、大権現様。
(ここ、今年の大河ドラマ・どうする家康にさりげなくつなげてる!)
わし一人が鬼になり、押し戻さずに済むのなら、安いものじゃ。
しかし、お門違いだったのかもしれない、と振り返る春日局。
激しく咳き込むが、誰も呼ばなくて良い、最後まで話を聴いてくれ、
そなたに聴いてもらえればよい、と言う。

原作とは違うのだけど、ここで私、結構ぐっと来ていました。
ずっと気を張って生きてきた、春日局が
やっと、自分の胸の内の苦しみを、有功様に吐き出せている。

この国は亡ぶ。
赤面疱瘡が続けば、男子がいなくなり亡ぶ。
だから「没日録」なのですよね。
ドラマでは、村瀬が書いている記録のタイトルを
春日局がつける場面、なかったと思うけど。

春日局が有功様と話している時
上様も六人衆+稲葉正勝と話していました。
「亡びるなら、宿命を受け入れ、あがくしかない!」

有功殿、どうかどうか、世が亡びるその日まで、
上様の傍にいて下され。
あの日、わしは仏をさらってきたのじゃ。
間違いばかりの婆だったが、
そなたをさらってきたことだけは間違いではなかった。
上様を救ったのはそなたじゃ。
これからもそなたしかおらぬ。
だから、どうか。

もったいなき仰せにございます。
と答える有功様。

春日局が亡くなって、上様と稲葉正勝がやってくる。
有功様が、最後の様子を上様に伝える。
「上様には感謝しかござらぬ
己の妄執にその身を捧げて下さったことへのお詫びと御礼を」
上様はそれを聞いて
「のう有功、春日はわしの何であったのかの
誰より苛烈で甘かった
この者がいなければ、今のわしはいなかった」
と呟く。
隣に控えていた正勝は
「母、でございましょう」
私、このセリフを聞いて、涙腺決壊しました。
ここはドラマオリジナルですが
本当に、森下佳子さん、原作愛があふれていて
リスペクトしながら、ドラマとしてさらに広げていかれます。
ここの場面は、ドラマ版ならではでした!

「鬼にも仏にもなるものは、母」
上様は春日局に呼びかける。
「それでよいか、春日」

上様は、ついに春日局を見送って
またひとまわり成長されました。
女姿で家臣団にお目見え。
「誰か私が女将軍になることに、異存はあるかえ!」
ここの堀田真由さん、カッコよかったですね❣

今回は、とにかく春日局の最期の
有功様への独白シーンがすごかった。
上様(千恵様)と稲葉正勝様という
春日局の子、といえる2人。
2人で「徳川家光」という人物を
担ってきた、春日局が育てた者たち。
また、千恵様を救うために春日局が見つけてきた
有功様。
千恵様も有功様も、春日局に運命を狂わされた、
とも言える。でも、春日局がいなければ、
2人は出逢うことはできなかった。

「私は仏をさらってきたのじゃ」

「母、でございましょう」
もともと魅力的な「大奥」を
こんなに素晴らしいドラマにして下さって
森下佳子さん、ありがとうございます。

次回からついに綱吉編に突入するようですね。
妖艶すぎる、仲里依紗さんの綱吉も楽しみ。

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