コロナ疲れを癒す、北欧発「ヒュッゲ流ライフスタイル」
みなさんは「世界幸福度ランキング」という言葉を聞いたことがありますか。
世界幸福度ランキングとは、国連が2012年より150ヵ国以上を対象に行っている幸福度調査のことです。
調査は、各国の国民に「どれくらい幸せと感じているか」を10段階で評価してもらった調査に加えて、(1)人口あたりGDP、(2)社会的支援(困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)、(5)寛容さ(過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか)、(6)腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)という6つの要素を元に幸福度を測っています。
各国で1000人を対象に調査し、調査対象者が各自の幸福度を0~10の中で評価して回答した平均値をとっています。これから発表する2021年ランキングの調査対象は149の国・地域でした。
◆世界幸福度ランキング1位は4年連続でフィンランド、2位はデンマーク、3位はスイス
みなさんは、1位はどこの国だと思いますか?日本は何位だと思いますか?
こちらが、今年の3月に発表された、世界幸福度ランキング2021の結果です。1位は4年連続でフィンランド、2位はデンマーク、3位はスイス、以下アイスランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、ルクセンブルク、ニュージランド、オーストリアと続きます。
これらの上位の国を見ていくと、北欧をはじめとした欧州地域の幸福度が高いことがわかります。一方で日本はというと、昨年より順位を上げて、今年は56位という結果になりました。日本が足を引っ張っているのは、人生の選択の自由度、社会的寛容さです。このうち自由度は「あなたは自分の人生で自分がすることを選択する自由に満足か不満か?」という質問への回答結果であり、寛容さは「過去1ヶ月の間でチャリティにお金を寄付したか?」という質問への回答結果です。特にこの「寛容さ」は、寄付文化のうすい日本では加点しにくいといえます。また日本人は、物事をはっきりと言わない民族といえます。アンケートでイエスノーかを問われれば、「どちらとも言えない」と答える人が大半です。そういう日本人に人生の幸福度合いを質問すれば、多くの人は普通か少しいいくらいと答えてしまうということが、56位という順位の背景にあるといえます。
◆北欧諸国が幸福度が高い理由
それでは北欧諸国がなぜこれほどまでに幸福度が高いのかという理由を見てきましょう。
まず、ワークライフバランスが取れていること、家族の優先度が高いことがあげられます。週37時間労働に加えて、年に最低5週間の休暇があるというのですから羨ましい限りですね。
また、医療費や学費が無料という充実した育児休暇制度や医療制度があげられます
さらに、男女平等の浸透や低失業率、政治的自由度、低い犯罪率、政治家の汚職が少ない、あふれる自然環境などがあげられます。ただし税率は高いという現実もあります。
◆北欧のライフスタイルが注目されている
ところで、北欧といえば、イケアやレゴ、マリメッコやロイヤルコペンハーゲン、ムーミンといった世界中で愛されているブランドを数多く生み出していることでも有名です。
また数年前からは、幸福度が高い北欧風のライフスタイルが世界中で注目されていて、様々な書籍が出版されています。それらの書籍に共通するキーワードは「ヒュッゲ」という言葉です。
◆北欧生まれの世界一幸せなライフスタイル実践法、Hygge(ヒュッゲ)
今日はその中から、北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法、ヒュッゲという本をもとに「ヒュッゲ」という北欧風ライフスタイルについて説明しておこうと思います。
「ヒュッゲ」はデンマーク語で、「心地良い」「幸福」という意味です。仕事を効率良くこなしながら家族や友人との時間を大切にする、必要最低限のモノでシンプルに暮らす、そんなデンマーク人のライフスタイルを指し示しています。
ヒュッゲスタイルを画像で表現するとこんな感じです。暖炉があって、お気に入りの器や温かい飲み物があって、人とのつながりを通して、一瞬一瞬を大切にしながら、好きなものに囲まれて過ごす。そんなイメージを想像していただけると思います。
◆ヒュッゲ流の心地よい暮らしの基本は、シンプル、スローダウン、空気感、仲間、オーセンティックの5つのキーワード
そして、ヒュッゲ流の心地よい暮らしの基本は、シンプル、スローダウン、空気感、仲間、オーセンティックの5つのキーワードにあると言われています。
まず、シンプルに暮らすとは、物質的な豊かさへの執着心を少なくし、日々の暮らしの小さなあれこれを愛でる習慣を持つこと。そしてモノをため込むのではなく、家族や友人との絆を大切する。人生で記憶に残る出来事は、お金がかからないもの、という考え方を持つことがベースになっています
次の、スローダウンして暮らすというのは、現代人は、不安定で情報過多の中で生きているので、一息ついて緊張を緩めたり、スローダウンすることを忘れがちである、速度を緩めることで自分を取り戻すことができるという考え方です。
3つ目の空気感というのは、あたたかさや居心地のよさがにじみ出ている雰囲気のことで、安全でおおらかで、ゆったりとしていて、 人と比べたり競争したりしないことを言います。そして大切なことはすべてを楽しむことという考え方です。
4つ目の仲間は、大切なのは安心して自分らしくいられる人たちと共に過ごすことであり、パートナー、隣人、同僚など、相手は一緒にいて楽しい人がいちばん。1人でもいいし、ペットが相棒なら申し分なしという考え方です
そして、最後のオーセンティックとは、自分の喜びに忠実に、自分の価値観に従って生き、誰かから言われたことではなく、自分の純粋な心に耳を傾けること。そして、自分を知ること、自分が好きなことや大切にしていることを大切にする。本当の自分でいることを重視する考え方です。
さて、みなさんはヒュッゲ流ライフスタイルのどこに共感できたでしょうか。
◆ヒュッゲ流ライフスタイルを実践していくための30のキーワード
では、ここでヒュッゲ流ライフスタイルを実践していくための30のキーワードをご紹介します。あなたならこの中から一番どれをやりたいと思いますか。
コロナ禍が長引く中、私たちのストレスもピークに達しつつあります。ヒュッゲ流ライフスタイル実践法には、このコロナ禍を乗り切るヒントが隠されていると思います。
◇ヒュッゲ流ライフスタイルを実践していくための30のキーワード
1. 熱いお風呂に入る
2. 日の出を眺める
3. 旧友に連絡する
4. 映画を見てリラックスする
5. 1日1人で過ごし、孤独を楽しむ
6. 子どものころに好きだったことをやってみる
7. 居心地のよいカフェを見つけて、あたたかい飲み物を飲む
8. 読もうと思っていた本を読む
9. 暖炉の火(またはろうそくの灯)のそばでくつろぐ
10. 自分をハッピーにしてくれるものをリストアップする
11. 携帯電話の電源を切って1日を過ごす
12. 友人との食事会を計画する
13. 家に人を呼んでお茶とお菓子をふるまう
14. 15分間瞑想する
15. 丸一日予定を入れない
16. ふかふかのスリッパを履く
17. くつろげる服装で散歩に出かける
18. 会いたいと思う人に手紙を書く
19. パンかお菓子を焼く
20. 手料理をつくる
21. アロマキャンドルを灯す
22. フェイシャルパックをする
23. 夕日を眺める
24. 身の回りの電子機器を片付ける
25. ヨガのレッスンを受ける
26. 仲のよい人に手づくりのプレゼントを贈る
27. 花を摘んで、花瓶に生ける
28. 癒しの音楽をかける
29. ペットや愛する人をハグする
30. かなえたい夢を日記に書きだす
【ライフスタイルマーケティングの視点】
長引くコロナ禍の中で、人々のストレスもピークに達しつつあります。幸福度ランキングの高い北欧諸国のライフスタイルには、コロナ禍を乗り切るヒントがたくさん詰まっています。
私たち日本人も、今こそ、どんな暮らし方がいちばん豊かで快適なのか、自分自身に問うてみることが大切です。
企業も、商品やサービスの先にある本当に心豊かな生活を提案することが求められています。