『銀河鉄道の夜』、『南十字星』と『南無』と『ナンム神』が繋がった?!

今回は、『南無』は、どうして「南」と「無」なのか?という疑問から、色々と紐付けされていったので、私なりの解釈を綴っていきたいと思います。

まず、『南』という音からなぜこの文字を当てたのか?を調べていると、「南十字星」というワードにたどり着きました。

南十字星は南天の星座の一つでケンタウルス座に囲まれています。

南方にあるため、北半球では見えないが所が多く、日本では宮古列島・八重山列島では比較的観望しやすいそうで、観望ツアーがあるそうです。

この南十字星の左横には「コールサック」という暗黒星雲が存在します。

暗黒星雲は、星が形成される領域です。言い換えれば、暗黒の『無』から『有』が生み出される場所とも言えるでしょう。

『無』の神と表現するならば、古代シュメール神話に出てくる、全ての始まりの神『ナンム』に繋がるように思えます。このナンムは、全ての神々を産んだ母なる祖・海の女神・永遠の昔から存在していたもの・蛇女神として説明されています。

『無』とは全ての始まりの最初の状態を表すのなら、その全ての始まりの神様が存在することを知っていたシュメールでは「ナンム」と呼んでいた。これは、サンスクリット語の「namo」を音写した漢訳だといわれる「南無」の響きと繋がるような気がします。また、先ほども言ったように、コールサックが南十字星の側にある事を人は大昔から知っていたのであれば、「南十字星の無の神」=「ナンム」=「南無」とし、それを全ての始まりの根源であるものに「帰命」するという表現に当てはめたのも感覚的に繋がります。

そして、この南十字星は聖徳太子のいた飛鳥時代には、日本から見えていたという説があります。聖徳太子といえば、仏教や儒教を取り入れ神道とともに信仰していた存在でありその中でも「法華経」を重視していたとされています。この法華経のお題目は「南無妙法蓮華経」です。

余談ですが、この法華経は、サンスクリット語では、サッダルマ・プンダリーカ・スートラであり、「白蓮華のように最も勝れた正しい教えの経」と訳します。(『思想としての法華経』より)南無妙法蓮華経は、白蓮華のように最も勝れた正しい教えの経に帰命しますとの誓いの言葉です。


この法華経に影響されて独自の宗教観を持っていた詩人・童話作家である宮沢賢治は有名です。

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そして、宮沢賢治の童話作品の「銀河鉄道の夜」は皆さん一度は目にしたり、耳にしたことと思います。この物語は、ジョバンニという少年が、友人のカムパネルラと銀河鉄道の旅をする物語です。

旅のスタートは白鳥座の「北十字」、白鳥座の頂点デネブから、わし座のアルタイル(彦星)と、こと座のベガ(織り姫)に挟まれた天の川に沿って出発します。この三つの星は「夏の大三角形」と呼ばれています。汽車の中で、カムパネルラは「僕はお母さんが幸せになるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、お母さんの一番の幸せなんだろう。」と聞きました。ジョバンニは、「君のお母さんは、君がいるってことだけで幸せだよ。お母さんって、そういうものだと思うよ。」と答える。カムパネルラはその言葉で安心しました。汽車には、十歳くらいの女の子が乗ってきました。話によると、乗っていた船が氷山にぶつかりあっという間に沈み始めた。その女の子は、「救命ボートの数が少なくて、私が助かって、ほかの人はどうでもいいなどという気持ちには、とてもなれませんでした。」と言いました。カムパネルラは、「人を助けるために死ぬのなら幸せだって…。僕は安心した。」と言い表情は輝いて見えました。汽車が空のトンネルに入ると少女はいつの間にかいなくなっていました。コールサックの中でした。二人は、「本当の幸せとは、何だろう。」と話し合いました。そして、二人で一緒に本当の幸せをさがそうと誓い合った時に、汽車は南十字に到着しました。カムパネルラの姿は消えて、ジョバンニは、もと居た丘の上で目覚めました。町に向かうと、カムパネルラは川に落ちた友達を救った後溺れて行方不明になったと聞かされました。

ジョバンニは、あふれる涙をこらえながら、また丘まで戻り「コールサックの中で君と誓い合ったことを忘れない」と誓います。ちょうどその時、太陽が東の空からのぼりはじめたのでした。

この絵本の最後には、宮沢賢治の言葉がのってありました。

「世界がぜんたい

幸福に

ならないうちは

個人の幸福は

あり得ない」です。

この物語には自己犠牲が幸福かのように表現されていますが、私は本当の幸福には犠牲という概念などないものだと思っています。

この物語や、『南無』から私なりに見出した答えは、南十字星は、終わりであり始まりを意味しているように思います。そしてそれは、戻る場所であり始まる場所を意味している。とすれば、北十字は、現実世界に生まれ出てスタートする場所。私たちは、天の川銀河を旅しながら、「本当の幸せとは何か」をみつけることを、南十字のコールサックの中でナンムに誓って北十字から生れ出させてもらったのではないかと…

そう思えてならないのです。


今回も読んでいただきありがとうございました。













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