見出し画像

【第2回】大塚家具の業績悪化をコトラーの競争地位戦略から考える

~大塚家具創業の地から徒歩3分に住むMBAデザイナーnakayanさんが読み解く~

2016年12月12日公開:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ
https://ameblo.jp/naka-yan/entry-12228120348.html


▼2016年12月12日付ダイヤモンド・オンライン掲載記事

(以下記事内一部転載)
父と娘で経営権を争ってから1年半。大塚家具が苦境に陥っている。2016年12月期は最終赤字が確定的で、内紛の傷が癒えるどころか、早急な止血に追われている。…

家具販売大手の大塚家具が、創業地である埼玉県春日部市で土地売買契約を進めようとしている。

この契約は、ショッピングセンター「イオンモール春日部」の向かいに同社が所有する約5000坪の空き地を不動産投資ファンドに売却するというもの。広大な土地には20億円を超す値が付けられ、関係者によると「年内にも譲渡される予定」だという。…

「舵取りが難しそうですね。」前回述べたように、コトラーの競争地位別戦略に当てはめるならば、大塚家具はニッチャーからチャレンジャーへと戦略転換をはかった訳ですが、仮に私が大塚家具の社長だったならば、私も久美子社長と同じ選択をしていたことでしょう。

勝久前会長が築き上げた競争地位はあくまでもニッチャーでのトップでしかありません。ニッチャー戦略の継続で、現状維持は可能だったかもしれませんが、市場自体の縮小を背景に長期的な拡大は難しい状況です。コトラーによると地位別戦略における市場占有率は、「リーダーが40%、チャレンジャーが30%、ニッチャーが20%、フォロワーが10%」とされます。

企業の未来を中長期的に担う立場の経営者としては、市場占有率を高め、企業を発展・拡大させたいと考えるのは当然であると言えます。つまりは、現状の市場占有率20%から、30%へと拡大を試み、それまでのニッチャー戦略からチャレンジャー戦略へと戦略転換をはかるということです。

しかしながら、大塚家具はチャレンジャー戦略への転換を試みたものの市場ニーズと合致しない戦略を取ってしまったため苦境に陥る状態になってしまいました。あくまでも結果論でしかありませんが、チャレンジャーへの戦略転換をはからずに企業を発展・拡大させる選択肢が別にあったのかもしれないと私は考えています。

客観的立場からの推測の域でしかありませんが、現状の大塚家具経営陣が市場として捉えているのは国内のみのように感じます。国内では、ニッチャーのトップとしての確固たる地位(国内シェア20%)を保ったまま、海外富裕層向けに新たな市場拡大(+αのシェア)を試みることで、高級路線を崩さずに企業を発展・拡大させることが可能だったかもしれません。

ここから先は

1,443字
この記事のみ ¥ 100

頂いたサポートは、書籍化に向けての応援メッセージとして受け取らせていただき、準備資金等に使用させていただきます。