舞雪 風花の遊ぶ空
暗い空から雪が降る。
降る前は、暗い空だけで重苦しかった。
寒い中、はるかな高い空からふわふわと白い雪が無数に、無限に舞い降りてくる。
風に乗って急に上昇したり、くるくると回ったり、まるで雪が遊んでいるようだ。
暗い空が、急に軽やかに明るく見えてくる。
街路樹も白く綿雪をかぶり、ベンチにも白くふんわりと積もり始める。
夕方のような暗さの中、人々は背を丸めて足早に通り過ぎる。
邪魔にならない広めの場所に立ち、上空を見つめる。
暗い雲から、舞うように降る白い雪。
顔や肩にも落ちてくる。
時々ヒューッと吹く風に、雪が一斉に駆けだす。
足元から寒さが這いあがって来る。
雲の切れ目から日が差し、乱舞する雪を照らし出す。
冬の大空一面の桜吹雪。
今日は青空ではないけれど、風花の言葉が似合う。
街の音は雪に吸収されて、いつもより静かな午後。
追いかけっこをする子供たちのような雪を見ながら、嬉しくなった。
明日の朝、積もった雪の上を歩きたい。
白く眩しい雪の上を朝一番に。
絵 マシュー・カサイ「舞雪」水彩
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