海のダブルレインボー
また海に来てしまった。
憂鬱な気分のまま来てしまったが、ここは空も海も砂浜も
光と熱と、強いエネルギーで満ちている。
眩しくて目を開けにくい。息まで熱くなりそうだ。
体の中のドロドロが熱で焼かれ、消えていく。
ただ空を見て、海に遊ぶ時間。
何も考えず、ユラユラ波に浮かぶ。幸せの時間。
唇に着いた海水が塩辛くていい刺激。
雨雲が来て雨が降り出しても海に浮かんでいた。ひんやりした風もいい。
雨が目に入り、口に入る。叩きつける雨が焼けた肌に痛気持ちいい。
雲が強い風に飛ばされていく。速いなあ。
にわか雨の後、明るくなった空には大きなダブルレインボーが現れた。
青い空、青い海に大きなゲートのように虹が浮かぶ。
まるでこの門を通っていくと幸せが待っているような。
虹の門の先には大きな雲の中から天空のお城が現れるような。
以前、虹を追ってずっと走ったことがある。
虹はすぐ薄くなり消えてしまった。
虹は追いかけるもんじゃない。
たまたま、見ることができただけでも幸せなもの。
こんなに大きくてこんなにきれいな色。
雨の後、突然現れ、ほんの数分で消えてしまうもの。
周りには誰もいない。
自分だけのために現れてくれた。しかもダブル。
今年の夏一番のプレゼントかな。
絵 マシュー・カサイ「海のダブルレインボー」 水彩・ペン
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