大空でスズメと遊ぶ
久しぶりに空へ。
秋の涼しい大気を味わいたくて飛んでみた。
幸い雲が多くて目立たない。
日光もあまり暑くなく、肌に優しい。
ああ、空の青に染まりそう。
思いっきり深呼吸する。
手足をいっぱいに伸ばす。
頭の中からモヤモヤがスーッと消えていく気がする
眼下の景色も少しづつ色づき始めて、楽しみだ
一年のうち、こんな気持ちいい日が何日あるだろう
真上を見ると、吸い込まれるような濃い青空
少し怖いくらいだ
風にゆっくり流れていく雲も優雅
林のあたりから黒い雲のような塊が湧き、アメーバのように蠢きながら空へ伸びてくる。
見ているうちに、チュンチュンと賑やかな騒音が聞こえてきた。
群雀だ
こちらに近づくその黒い雲のような群れから何羽かの雀が飛んできた。
明らかにびっくりしている。
周りを飛びながら、近づいてくる
そっと手を伸ばしたら一羽が停まった。
よく見ると、何となく見覚えがあるような気がする。
公園でよく近づいてきてた子たちだ。
たまにお菓子やパンのかけらをあげてた
横取りしようと寄ってくる鳩たちからうまく逃げながら餌を食べてた。
意外な出会い
つい笑顔になってしまう
スズメたちはすぐ群れに戻り、黒い雲のように行ってしまった。
秋空を楽しんでいるのだろう。
静かになった秋の空は、少し寂しい気がした。
絵 マシュー・カサイ「大空でスズメと遊ぶ」水彩 P60