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お別れ


お気に入りのバッグがありました。
とっても大好きで、一時期それしか使っていなかったくらい。私のアイコンバッグでもあった。
皮は擦れ、使い物にならなくなっても、拭いてちゃんとしまっていた。リペアをいつかしよう、と思いながら…。

出会いは社会人一年目、初めてのボーナスで大人買い。少し背伸びをした気分にもなったし、持っている自分に自信が付いたりもした。
彼女(バッグ)は、いつも私の側で、風に吹かれ、雨に濡れ、投げ出されても、パンパンに詰められても、壊れることなく、私に寄り添ってくれた。

楽しい時も、嬉しい時も、悲しい時も、苛々した時も、いつも一緒にいてくれた。
大好きな色の組み合わせ、これ以上の色の組み合わせに今後出逢うことがないとさえ思う。
可愛くて、愛しくて、仕方ない。
だから捨てられなくて、ずっと部屋の隅に大切においていた。

ところが最近、それを手放そう、とふと思った。もう使わないことも知っている、リペアをしようと色々調べたことも覚えている。でも、もう、手放せる。ふと、そう思った。

薄情者かな?と思ったけど、ボロボロになるまで使われたバッグは、きっと鞄冥利に尽きるのでは、という勝手な思い込み。

もう、手放す時なんだろうと思う。
お別れの時なんだよね。

彼女(バッグ)のことを忘れたくなくて、ここに残すことにした。
あなた(バッグ)を大切にしたことを忘れたくなくて。
私、すぐ忘れちゃうから。

ありがとう。
沢山のトキメキがあった。
あなたをいつも可愛いと思っていた。
あなたと一緒にいると、私まで可愛いと思えた。
若い私には高い買い物だったけど、背伸びして買った分、頑張ったことに自信が持てた。
大切なものを全部、守ってくれた。

ありがとう。本当にありがとう。
あなたに出会えてよかった。

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