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リアルなバレエ漫画の傑作「舞姫テレプシコーラ」⑪

バレエ踊りたい、でも踊れない今の私でなくとも
子どもの頃からバレエをしていた者にとってこの漫画は
あまりにリアルで残酷な物語です。

今はたくさん、バレエ漫画があるようですね!
どれも読んでいませんが(^▽^;)
どんな内容なんだろう?Boysや、コンクールや、色々描いているようですが
山岸凉子のテレプシコーラほど残酷なバレエ漫画はないでしょう。

テレプシコーラとはギリシャ神話にでてくる舞踏の神様のこと。

元々山岸ファンの私、この漫画は連載当時からリアルタイムで読んでおりました。それはそれは面白くて・・・毎月ダ・ヴィンチの発売日を楽しみにしていました。

2000年から2010年にかけて、雑誌ダ・ヴィンチに連載され
手塚治虫漫画大賞も受賞しております。

最近、ネットでも読めるようになったようです。

なのに、なのに?あまり話題に上らない?ような気がする。
バレエ関係者のSNSにも・・・(私が知らないだけかな?)
あまりにリアルで残酷な一面を描き出しているからだろうと推測しています。

どのように残酷か?というと・・・
厳しい訓練ではありません。

バレリーナを志す少年少女たちの、
家庭環境・財政・貧困・イジメ・児童ポルノ・拒食症・身体の欠陥
そして、自殺・・・などが
描き出されているのです。

どんな環境であっても、それでも、

バレエを踊りたい。

そして

バレエを諦める。


どちらも描かれています。


主人公の六花(ユキ)は小学5年生で母親がバレエ教室の先生です。
バレエは好きですが、別段真剣ではありません。脚も180度開くことは不可能な、脚の付け根をしています。(母親が病院まで連れて行って調べた)
バレリーナに向いていない、そう宣言されているようなものです。

姉の千花が出るコンクール。六花は自分の脚が開かないことを知っているので母親から期待されていとわかっています。

一つ上の姉、千花(チカ)は、意識が高く、プリマ(主役のバレリーナ)になるために自分の意思で生活を組み立てています。才能も豊かで容姿端麗、期待されています。ここで姉妹は日常的に比較されていきます。



そして、六花のクラスメイト、空美(クミ)。
彼女は転校してきたそばから、クラスでイジメを受けます。
彼女の顔が、男の子かと思うほどの武骨なもので、とてもぶっきらぼう、そしていつも同じ服、給食はがっつく、見るからに貧困だからです。
ですが、ふとしたしぐさで六花は彼女がバレエをしていることを見抜きます。顔はともかくスタイルが抜群な彼女、スッと差し出した脚がアンディオール(外旋)だったのです。

六花の自宅の教室でレッスンを受けてもらうと、空美は信じられないほど、バレエが上手でとても美しい姿でした。千花がライバル視するほど。

なのに、空美はどこの教室にも所属しておらず、母親に習ったといいます・・・こんなにも厳格なワガノワメソッドを?六花の母親は不思議に思います。

実は空美の家庭は貧困で日々の暮らしもままならず
母親は時々、空美の顔を隠して児童ポルノのグラビアモデルの仕事をさせて
生活費を稼いでいました。その仕事で得たお金で、空美は、往年のバレリーナである祖母にバレエを教わりに連れて行ってもらえるのです。
グラビアの仕事はしたくない、でも、しないとバレエできない。

学校を休んでと言われるときはグラビアの仕事です。

酒に溺れた父親は働かず、暴力をふるう毎日。

そこらへんはかなり、読んでていて辛くなる描写です。

次に。。。。千花。プリマになることを目指している千花。
六花と一つしか違わないのに、精神的に大人です。
自ら、バレエの道に進むための進路を決め(私立中学に入りエスカレーター式)練習に没頭します。

愚痴や不満は言いません。ただただバレエを踊るために鍛錬しています。
その優秀さを周りから僻まれて、イジメを受けていたのに最後までそのことを誰にも言いませんでした。最後まで。

途中、様々な困難が千花を襲います。
これでもか、これでもか、と。
13歳でこんなにも背負うことないのに。

ううう・・・(´;ω;`)


そして。。。。。

と、これ以上は、衝撃を受けてほしいので!!!
読みたいと思った方の為に伏せておきます。


脇役も秀逸です。少女から女性へ身体の変化に伴い
どうしても太ってしまう子もいます。
痩せたくて食べては吐きを繰り返し、拒食症に。
でもバレエの道を諦めたとたん、治りました。

踊りたかった役はスリムな子が選ばれたのです。

決して主役にはなれない子。闘争意識が強い子。
嫌がらせするクラスメイト、先生の贔屓。
どれも、とても現実味を帯びていて
バレエの世界は過酷なんだと思わざるを得ません。

主人公の六花は、元々はのんびり屋さんでしたが
成長を強いられてしまいました。結果、辛くとも
それは彼女を大きく飛躍させてくれました。
私も涙ぐみました。よく頑張ったねと。


バレエ漫画の世界というと、古くは
ト、トウシューズに画鋲が・・・!!!
なんてネタがありますが、それに近いものは存在します。

ト、トウシューズにワックスが・・・!!!
事件が漫画では描かれています。

ワックスがついているとどうなるか?
舞台で滑るんです。
コンクールという大舞台で、千花はそれをやられました。

六花は、本番直前で大事なお守りを隠されたりね。


ただバレエを踊りたい。
それだけなのに、それだけでは踊れないのだ、という現実を
突きつけられて辛い漫画です。

なのに、バレエってやめられないんだよな~

バレエが好きな方、漫画が好きな方、
未読でしたら機会があればぜひ読んでみてほしいです。

ではまた明日っっ???
書けるかな~










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