傾聴
先日、初めて参加した不登校生の親の会で心動かされるお話を伺いました。
その方は40代後半だと思いますが、30代前半まで10年間引きこもりだったそうで、ある傾聴の会(年配のボランティアの方が何人かいて、話したい人に話を聞いてもらう会)に何度か参加しているうちに、本人曰く「温かいお風呂に浸かってるように、強張っていた心が解きほぐされた。」「外に出たいと長年思っていたが、ついにそのタイミングが来た。」と感じたとのことです。所謂大人の引きこもりご本人の課題のお話を聞くのは初めてでしたが、長年の悩み、課題が、話しをとことん聞いてもらうことで解決するという、カーネギーの「人を動かす」(自分の三大座右の書の一つです)に書かれているようなことを実際にお聞きして、まずはそこに引き寄せられました。ご本人のエネルギーとボランティアの方のエネルギーの相乗作用で、自信・自己尊厳の回復が図れたものと思います。※現在はボランティアメンバーの高齢化で閉会されたのことで残念です。)
この方の話の凄いところはその後、社会人として自立するため、自力で職探しを始めるのですが、就労経験がなく、引きこもり歴が長い彼がハローワークで探してアタックしても不採用が続き、社会の厳しさを改めて実感したあとの意識、行動にありました。
不合格になったという現実を経験ボランティアの方たちとも共有し、ここを突破しようとアタックを継続し、何とか新聞配達の職についたそうです。そして最初は居住地近辺で働いて自信をつけた後、見知らぬエリアでの新聞配達にチャレンジし、その配達先の病院で働く人たちを見て敬意を感じ、医療関係の職場に転職します。そこで資格を取り、より高度な医療現場を志願し、現在は重病の方の心のケアに従事されているとのことです。
今後は傾聴の勉強を継続すると共に、重度災害の際の現地スタッフ(心のケア)に選抜されるよう自己研鑽されているとのことです。
傾聴のもたらす素晴らしい人間力の実在に感動を覚え、大きな参考にさせていただきたいと痛感しました。