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ファンダメンタル分析概論
ファンダメンタル分析とは?基本的な理論と特長を解説
投資やトレードをする際、銘柄選びのための分析方法には大きく分けて2つの方法があります。それは、「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」です。この記事では、そのうちのファンダメンタル分析(ファンダ)について、基本的な内容や特長、さらにファンダメンタル分析が抱える課題について解説します。
1. ファンダメンタル分析の概要
ファンダメンタル分析とは、企業や経済の「本質的価値」を探るための分析手法です。主に企業の財務情報や業績、経済指標などを元に、株価や資産の適正な価値を評価します。ファンダメンタル分析は長期的な視点で投資判断を行う際に活用されることが多く、企業の成長性や経済環境の変化を重視します。具体的なデータをもとに投資対象を評価するため、「本質的な価値」を見極めるという点が大きなポイントです。大学で経済学や金融論を学んだことがあったり、公務員試験やFP試験で勉強した方は知っている知識かもしれませんが、投資に関してはこの基本の理解が大変重要です。
ファンダメンタル分析で用いられる主な指標
PER(株価収益率): 株価が企業の利益に対して高いか低いかを示す指標。
PBR(株価純資産倍率): 株価が企業の純資産に対してどれくらいの倍率かを示す指標。
ROE(自己資本利益率): 自己資本に対してどれだけ利益を上げているかを示す指標。
これらの指標を用いて、企業の成長性や収益力を評価し、投資判断を行います。
2. ファンダメンタル分析の理論と数式
ファンダメンタル分析では、企業の収益力や成長性、財務健全性を評価するために、以下のような数式や理論を活用します。
株価収益率(PER)
株価収益率(Price Earnings Ratio)は、以下の式で計算されます。
PER=株価 ÷ 1株当たりの利益(EPS)
PERが高い場合、投資家がその企業の成長期待を持っていることを示し、逆にPERが低い場合は割安とされることがあります。
PERは期待値を示している!
期待値によって株価は上昇↑下落↓する!
株価純資産倍率(PBR)
株価純資産倍率(Price to Book Ratio)は以下の式で表されます。
PBR= 株価 ÷ 1株当たりの純資産(BPS)
PBRが1倍を下回る場合、企業の市場価値がその純資産価値より低く評価されていることを示します。
自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率(Return on Equity)は企業の収益性を評価する重要な指標で、以下の式で計算されます。
ROE= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
当期純利益:会社が1事業年度の営業活動で株主全体にもたらした利益)
自己資本:株主が出資したお金など返済する必要のない資産)
ROEが高い企業は効率的に自己資本を活用して利益を上げていると評価されます。
3. ファンダメンタル分析の特長
ファンダメンタル分析の最大の特長は、企業や経済の「本質的な価値」を見極めることに重きを置く点です。以下にその特長を挙げます。
長期的な視点で投資判断を行う
ファンダメンタル分析は、企業の業績や市場の経済状況などに基づいて、長期的な成長性を評価します。短期的な市場の動きに惑わされることなく、安定的な投資判断を行うことができます。
データに基づいた判断
ファンダメンタル分析では、企業の財務諸表や経済指標などの具体的なデータを用いて判断します。このため、直感や感情に頼らず、論理的かつ客観的な投資判断を行うことが可能です。
投資対象の適正な価値を評価
テクニカル分析が「市場の動き」を重視するのに対し、ファンダメンタル分析は「企業の価値」や「市場の健全性」に焦点を当てます。これにより、割安な銘柄を見つけ出すことができる可能性があります。
4. ファンダメンタル分析の問題点
ファンダメンタル分析は強力な手法ですが、いくつかの問題点も存在します。
短期的な変動には対応しにくい
ファンダメンタル分析は、長期的な視点での投資判断に適していますが、短期的な価格変動や市場のトレンドを読み取ることが難しいです。そのため、デイトレーダーや短期投資家には不向きです。
市場の過剰反応を捉えにくい
市場は時に過剰反応を示すことがあります。例えば、ニュースや政治的な出来事が原因で、株価が一時的に急騰・急落することがありますが、ファンダメンタル分析だけではこれらの変動をうまく捉えることが難しい場合があります。
データが信頼できるかの検証が必要
ファンダメンタル分析では、企業が公表する財務データや市場の経済指標を元に判断を行いますが、これらのデータが正確で信頼できるかどうかを慎重に確認する必要があります。不正確なデータに基づいて分析を行うと、誤った投資判断を下すリスクがあります。
5. まとめ
ファンダメンタル分析は、企業の本質的な価値を評価し、長期的な投資判断をサポートする重要な手法です。財務指標や経済指標に基づいた客観的な判断が可能で、長期的な成長性を見極めるための武器となります。しかし、短期的な市場変動に対応しにくい点や、データの信頼性を慎重に確認する必要がある点には注意が必要です。
ファンダメンタル分析を活用し、長期的な視野で賢い投資判断を行いましょう。