ほっと一筆「継兄の命日」

2023.6.2

あっという間に6月。
昨日、実家から戻ってきたのだけど夢の中に5年前亡くなった継兄が出てきた。


母と再婚した継父には子どもがふたりいた。
わたしはずっと実父の戸籍にいて、就職前の離籍・養子縁組によって、お兄ちゃんがふたりできた。

わたしの実弟と合わせて4人兄妹に晴れてなったわけだけど、その3年目に、2番目の継兄は不運にも事故で亡くなった。


兄妹として過ごせた時間は少なく、盆暮正月くらい。
でも、家族を失ったことによって、身が引きちぎられそうになる悲しみだった。


母も大きく悲しみ、実の親子・兄弟である継父と継兄は深く深く沈み込んだ。


仲の良かった実弟も、大いに泣いた。


しばらくは悲しみの淵にいるなかで、あるとき母が、ふと、「6人家族なのに外食で5名様ですか?って聞かれるのが何だか辛くて」と漏らした。


わたしはそれを聞いたとき、なおいっそうに寂しさを感じた。


それまで、結婚願望もなかったし、特段何か願うことはなかったけれど、家族を増やしたいと心から思った瞬間だった。


そのあとよく訪ねるお寺で家族が増えますようにと参拝して、お守りを買ったのだ。


振り返ると、あの年に実弟は入籍してわたしは夫さんに出会った。
いとこに新たな子どもが生まれた。


結果として、あれから家族が増えた。


夫さんや、弟のお嫁さんに、継兄を紹介してあげたかったなと帰省するたびに感じる。


どんなだっただろうな、とか。
もっと賑々した盆暮正月になっていたかも。とか。


たくさん笑い声を響かせて、たくさん楽しく過ごしていれば、そこに継兄もいっしょにいるような気持ちでいつまでも家族の一員だよと伝えたい。






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