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犯人が捕まっても、防犯は継続せよ!
元警察官で、数回の転職を得て、現在は鉄道会社に勤務している傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。
1月22日の午後8時ころ、長野県長野市のJR長野駅善光寺口付近において男女3名が刃物で刺され、うち男性1名が死亡し、残り男女2名が重傷を負った事件で、警察は26日に長野市内に住む男性(46歳)を逮捕した。
この事件は、比較的治安が良いとされている長野県、県の玄関口であるJR長野駅善光寺口付近で起き、県内外の人に衝撃と不安を与えた事件です。
発生から4日で、犯人を早期に逮捕したのは、警察の力を最大限に発揮できたこと、地元の方等をはじめとした情報提供、防犯カメラのリレー捜査等、警察と住民と力を組んだ結果と言えるのではないかと思います。
今回早期に犯人が逮捕されましたが、今回の事件を機に、この種の事件において「自分でできる防犯」等について、改めて見直し、実践していただきたいと思い、投稿しました。
刃物を持つ犯人から身を守るために
1距離を保つ
刃物を持った相手からできるだけ距離を取ることが重要です。距離を保つことで、相手の攻撃範囲から外れることができます。
2防御の姿勢を取る
腕やバッグなどを使って、刃物から身を守る防御の姿勢を取ります。腕を前に出して顔や体を守ることで、致命的な傷を避けることができます。
3周囲の状況に注意をする
→不審者見抜く力を身に付ける
常に周囲に不審者がいないか注意をします。
最近はながらスマホやイヤフォンで音楽を聴きながら歩いている人等を多く見かけますが、これらの行為は非常に危険です。
特に暗い道(街灯の少ない道)等を歩く時は危険行為に近いです。
目と耳をはじめとした感覚をフルに活用し、「不審者を見抜く力」を身に付けましょう!
4不審者には対峙しない!
もし仮に不審者と出会ってしまったら、対峙しないで一刻でも早く逃げ、周囲に助けを求める、警察に通報するようにしましょう!
不審者と対峙していいのは、警察官だけです!
警察官は仕事でもあるし、訓練も受けていますので…。
今回の事件を機に…
昨年は福岡県の北九州市、1月で今回の事件に発生してしまったことから、自分の住んでいる地域や働いている地域の防犯コミュティを見直し、コミュティが無いようであれば結成したり、あるところは今一度見直して行くことが必要だとです。
1防犯パトロールの実施
地域・自治会単位で実施している所は多いかと思います。
今回の事件は、長野駅前の商業地で起きたことから、住民をはじめ、この付近で働いている企業も巻き込んで防犯コミュティを確立し、定期的な防犯パトロール活動を実施し、不審者に対してプレッシャーを与えて行きましょう!
2アプリやグループチャットでの情報共有
LINEグループやメールリストを作成し、防犯に関する情報(例:不審者情報、被害情報など)をリアルタイムで共有する仕組みを整えましょう。
これにより、情報伝達のスピードが向上し、早期の対応が可能です。
3防犯意識の啓発活動
地域住民や従業員に防犯意識を持たせるため、チラシ配布や防犯キャンペーンを実施することが重要です。
地域全体の防犯意識を高めるためのイベントや啓発活動に参加することも有効です。
4緊急連絡網の整備
トラブルが発生した際に迅速に対応できるよう、地域全体で緊急連絡網を整備することが重要です。
警察や警備会社と連携し、円滑な対応を図りましょう。
5顧客・利用者との信頼関係の構築
地域全体で防犯対策を行っていることを示すことで、顧客や利用者に安心感を与えることができます。また、顧客自身が防犯活動に協力することも期待できるため、地域イベントや見守り活動に積極的に参加しましょう。
今回の事件考察(私見です)
発生から4日で犯人逮捕
今回の事件は発生から4日で犯人が逮捕されました。
今回の容疑は、殺人未遂事件に対する逮捕なので、今回の事件→次の殺人未遂事件→殺人事件の順で逮捕・勾留・起訴と言う流れになるかと思います。
今のところ(2025年1月27日現在)、犯人は取調べに対して黙秘をしています。
取調べで犯行動機等を判明させ、起訴→公判となるかと思いますが、責任能力の有無も公判維持では重要になってきますので、どこかのタイミングで犯人の精神鑑定をする可能性があるかと思います。
また黙秘をしていることから、自宅の家宅捜索で押収した証拠品や親族や近所の人・知人等の供述から、犯行動機の解明がされるのではないかと思います。
発生から2日目にして…
犯人が住んでいるアパートの近くの駐車場に、長野県警の捜査員が駐車場を貸してくれと言う話があったので、発生から早い段階で、この犯人を特定したものと思われます。
防犯カメラのリレー捜査・市民からの情報提供等により、皆さんが思っているより早い段階で警察は犯人を特定し、逮捕に向けて捜査をしていました。
福岡の事件も、早期に犯人を特定し、逮捕に向けて動いていたのは間違いない事実です。
防犯カメラ画像の早期公開
今回の事件では、早い段階で防犯カメラの画像が公開されました。
なぜできたかと言うと、
・鮮明な画像であったこと
・早期に犯人を検挙したかった
・犯人の情報が欲しかった
・第二第三の犯行を防ぐ、模倣犯を防ぐ
等の目的があったかと思います。
昨年12月の福岡の事件では、防犯カメラの画像公開が言われましたが、できなかった最大の要因として、
鮮明な画像がなかった
ことになるかと思います。
福岡の事件、今回の長野の事件を通じて、防犯カメラを設置されている事業者の方には、画像の精度や設置方向、保管期間等を見直してもらいたいです。
犯人の逃走方向等について(防犯面も含めて)
犯人は駅前ロータリーにいた後、ホテルの前を通り、ホテルの角を西側に曲がって行ったと報道されています。
犯人が防犯カメラの存在について意識していたかどうか分かりませんが、ホテルを曲がった先は、街灯も少なく、車の通りも少ない所です。
おそらく防犯カメラの数も、極端に少なくなっていたと思われます。
観光客等が入ることは考えにくく、いわゆる「地元道」です。
犯人はこの道について知っていたと思います。
犯人の住所は、逃走方向とは正反対の所になりますが、長野駅周辺に土地勘があれば、今回の逃走路を知っていて、その先に車等を使って自宅に持っていた可能性はあるかと思います。
この様は街灯の少ない道で、夜間イヤフォン等をつけたまま歩いていくのは危険極まりない行為です。
「音」が遮られてしまうので、暴漢が不意に襲ってこようとする際、逃げることができなくなってしまいます。
普段、イヤフォンを付けて歩いている人がいたら、今回を機に見直し、イヤフォンをつけたままの生活を見直した方が良いかと思います。
人通りの少ない道だけではなく、電車の車内等でも暴漢は襲ってくる可能性もありますので…。
SNSの動きは…
福岡の事件では、犯人に関することをはじめ、情報が少なかったことから、SNSでの「デマ」が多かったです。
被害者・加害者・警察の対応等、色んな情報が流れ、本当にデマが多かったです。県警の幹部の名前まで出ていた始末でしたから…。
それに比べ長野の事件では、デマは少なかったと思います。
警察を応援する投稿、犯人逮捕まで行動を自粛する投稿、防犯を呼び掛ける投稿等が多かったように思いました。
警察の初動対応
今回の事件では、警察庁をはじめとした対応も早かったと思います。
警視庁をはじめ10都道府県の警察から警察官がパトロールや捜査応援等に長野県入りしていたことです。
災害等ではこの様な素早い動きはありましたが、事件でこの様な動きがあったのは非常に珍しいです。
警察庁も福岡の事件の教訓から、この様な事件が発生した際に、他の県の警察官を早期に投入すること、その結果として成功した事例になるかと思います。
起きて欲しくないですが、今後このような事件が起きた時には、警察庁は同じような派遣をするかもしれません。
なぜ情報が出てこないのか!?
警察は犯人逮捕に向けて全力で捜査をしています。
当然犯人に情報が洩れたら、全ての捜査が水の泡になってしまいます。
情報が漏れないために、報道機関への情報は必要最低限しか流しません。
情報を流せば防犯になるから良いのではと思う方もいるかもしれませんが、不用意に情報が報道機関に流れてしまうと、犯人に気づかれてしまうことや、逮捕後の公判維持等に影響してしまうこと、また最近はSNSへのデマ等を恐れて、警察からの情報は必要最低限の情報しか流れてこないと思った方が良いかと思います。
また報道で「捜査関係者への取材」と言う言葉を聞くと思います。
これは警察の正式な広報ではなく、場合によっては報道機関が先行して勝手に流している可能性もあるので、気をつけた方が良いかと思います。
警察の「広報」と「捜査関係者への取材」の違いについて
ドラマに書かれない警察の本当の話|河野博紀
最後に…
私が働いていた長野県でこの様な凄惨な事件が起きてしまい、お亡くなりになられた方にご冥福をお祈りするとともに、ケガをされた方には1日でも早く回復することをお祈り申し上げます。
この様な事件が二度と起きないために、ご自身・地域・勤め先等の「防犯」コミュティ等が確立されていることの確認、不審者に対する対応等、できることから防犯に取り組んでいただきたいと思います。
またできてない場合は、早期に体制を確立していく必要があると思います。
今回は、私が勤めていた長野県警察で起きた事件なので、私も元長野県警察の警察官として、勤務経験等を踏まえて、私なりの解説もしてみました。
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犯人逮捕の記者会見の写真(時事通信より)。
写真一番左が長野中央警察署長であります。
私が警察学校にいた時の教官で、教練・警備実施の教官でした。
厳しい方でしたが、人情味ある方で、学校時代も初任科生の困りごとや悩み事等を親身に聞いてくれた素敵な方です。
また本部勤務の時に捜査本部が設置され、指揮官として来て一緒に仕事をしたこともありました。仕事に厳しいかったですが、やってきた仕事に対しては評価をし、部下の仕事を褒め、ほめて伸ばすって感じの素敵な幹部でした。
これを読んで、講演等に興味を持っていただいた方は、お気軽に「日本刑事技術協会」にお問い合わせください。お待ちしています!
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