nemuiko

朝に弱い。読みやすい文章を書きたいこの頃。森見登美彦さんが好きです。

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最近の記事

鏡開き

 今日は鏡開き。 我が家では祖母がぜんざいを作り、そこに焼いた餅を入れて(乗せて)食べる事が毎年恒例だ。  今年はあずきの粒が大きく汁気が少なめだ。ほのかな甘さと温かさが寝起きの体に沁み渡るようだ。  そもそも鏡開きとは、正月に年神に備えた鏡餅を割って食すことで神様を送り出すとされ、正月の区切りとする行事(※注 祖母談)だそう。 しかし実際に“割って食す”事は難しい。なぜなら餅がカビてしまうから。よつて、わたしの家では鏡餅の形をしたオブジェのなかに入っている小さな角餅を使う。

    • BGMは“忘れられないの”でお願いします

      ※病床での個人的な覚書 「あー…これ陽性ですね。残念ながら。」 2022年ももうすぐ終わり。あと2日で仕事納めのところでわたしは新型コロナウイルスに感染した。 焼け付くような喉の痛みが前日から続いた為、出勤前に念のためと病院へ赴いた。 清々しい朝の空気。感染予防のため窓が開け放たれた診察室で医師は、てきぱきと今後の指示を出していく。言われるがまま薬をもらい、出勤せず帰宅。 関係各所へ連絡が終わり、仕事着を着替える。 (やれやれ…) 部屋着になり白湯を飲んでようやく一息つく。

      • 君と遊ぶ

         「…もしもし?」 私が声をかけると、電話越しに君は心底申し訳無さそうに言った。 「申し訳ないんだけど…今起きました…」 時計の針は12時を少し過ぎたところ。昨日の雨が嘘のような青空だ。待ち合わせ場所のA町駅前には私しかいない。日を改めるか提案すると君は、自分の下宿近くの鰻屋で昼にしないかと話した。 鰻は好物だ。しかも訪れたことのないお店である! 「そういえば、Mさん。うなぎ平k…」 「好きです、鰻」 食い気味で返答をしてしまった。 寝坊された事などどうでもよい。君とランチへ

        • 『熱帯』を読み終える日

           あぁ、帰ってきた。  むせ返るほどの草木の香り、遠くに聞こえる潮騒、冷たくて甘いコーラ、海を走る列車。 一転、雪の降る町、節分祭の喧騒、珈琲の香り、小さな部屋。  わたしはその場所へ行ったこともないし、色や香りも想像でしかない。けれど、『熱帯』の最後のページをめくり終えるまでわたしは、あの世界の中を旅していたのだ。  窓の外、夜は深くなり、机の上に置いた紅茶はすっかり冷めていた。   #わたしの熱帯