more than words
夕飯を食べ終えて、後片付けをしながら
AirPodsを装着し、好きな音楽を聴きながら
ノリノリで適当に踊る
そんなご機嫌な私の気分を一気に
急降下させた夫の一言
「床、ギシギシなるからやめてくれる?」
なーにー!
言ったなー!
さっきソファの上で腹筋してた夫に
「埃たつからやめてくれる?」と言いたくて我慢した私
だってその一言で空気悪くなるじゃない?
空気悪くなるくらいなら耐えよう。と思ったのだよ
カチンときた私は
黙って本を持って台所の奥に引き篭もる
台所は私の聖地
そして、羊文学の
more than words
光るとき
1999
マヨイガ
を聴きながら夫婦生活に思いを馳せる
そういえば、私たちが付き合い始めたのは
世紀末だったんだったなぁ
だいぶ遠くまできた
振り出しに戻った私たちは
結婚して、翌年には長女を授かり
年子で長男を産み
子育て中心で生活してきた我が家
今年、22年ぶりの夫婦ふたりの暮らしになった
えっと…
どうやってふたりで暮らしてたんだっけ
世のふたり暮らしご夫婦はどうやって暮らしてるの?
生活リズムもバラバラ、趣味も違う
今のところ、別になりたい
と強く思うこともないので
このまま、曖昧に暮らしていくのだろう
(ちょうどBGMの羊文学さんがあいまいでいいーよー。って歌ってる)
曖昧 とかグレー とか いい塩梅とか
日本的美学だと思う
変わる家族のかたち、夫婦のかたち
子育てに追われたあの頃
仕事と家庭の両立の難しさと
終わりの見えない毎日に途方に暮れて
こんなふうに、両手が空いて
夜、文章を書く時間が取れるようになるなんて思えなかった
子育ては終わる
厳密に言うと終わらないけど、手のかかる時期は終わる(今は手が離れたけどお金がかかる)
ひとり、またひとりと自立し家族のかたちは変わる
小さい頃から、18歳
もしくは就職したら家を出てね
と子どもたちに話していた
私自身、18歳で家を出て
親のありがたみを知り、自由を知り、孤独を知り、自分を知った
ひとりで生きていく
そのための強さは、ひとりになってみないときっとわからない
アパートにひとり
起きて寝てご飯を食べて、生活をして、生きて
知ることがあると思う
結婚してふたりになると決めて
このね、ふたりでいるのにひとりぼっちだな
と思う時の孤独感は、ひとりでいる時より苦しい 悲しい
だからこそ、私は寄り添いたいと思うのだよ
夫よ
more than words
私的に超訳
「言葉にできないほど」「言葉では言い表せないほどの」
いろいろ、長く一緒にいると
いろいろ思うところがなくはないけれど
いなくては困る と思う相手なので
夫は私の more than words なんだな
きっと
そして、私は
開き直って また踊ります 陽気に