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まだ泣きたくなる日がある/菫が咲いていた

長年勤めた医療職を辞め
43歳で私は花屋へ転職した

花屋での日々

勤めたのは
20年近く通っていた花屋
花の教室に通い、時にはサポートスタッフとして働いていた

店主からもスタッフからも
いつから働くの?
と言われもしたし
このままの感じがいいかもね
とも言われた

ただずっと
私のなかで、花と真剣に向き合いたい
という気持ちが強かった

ちょうど近しい人を失い
人の生の儚さに
自分の気持ちの赴くまま向かいたいとの気持ちもあった

花の仕事をするにあたり、自分の花の教室をきちんと開くこと、花屋で働くのは週3日か4日
遅くても19時まで。と決めて何店か面接に行こう。そう思っていた
師に、仕事を辞める旨を伝えると
「じゃあ、具体的な話をしようか。」
と言ってもらえた

人は、他人に必要とされると頑張ろうと思う
あ、私必要とされてるんだ
嬉しい!少しでも力になれたら嬉しい!
ここのお店大好きだし、師も尊敬してるし
頑張ろう!
と心の底から思った

折しも、そのひと月前にコロナも患い、自分の人生を大切にしよう。との気持ちがさらに高まっていた

退職した職場での私はこれぞ天職か
と時々思うものの、なにか違う
という思考がいつもつきまとっていた
職場での職員のメンタルヘルスも担っていたので、みんなのメンタルケアとして話を聞いて寄り添って…それにも少し疲れていた
心理カウンセラーのかたとか、どう自分の気持ちを保つんだろう

私の心のケアは、花だった
美しい花、可憐な花、個性的な花
見て、触れて、向き合って
癒されていた

たくさんの、いろいろな立場の女性と関わる仕事だったので、日々のいろいろなことに疲れてしまってるひとを、花を通して花の持つ力を伝えたい。そして、笑顔になってほしい
そんな思いでワークショップや出張レッスンをはじめた。いつか、誰かの癒しになるような花の仕事を始めたい と思っていた

花屋での仕事をはじめることは
修行に行きさらに花を深く知る
そんな心つもりだった

つづく

すみれ

花屋での仕事をはじめ、最初の休前日
車を停めたところにすみれが咲いていた

一緒に働いていたカエちゃんに
「すみれが咲いてるね」
って話すと
「えー!気がつかなかった!ようさん、ほんとに花が好きなんですね!」
と言われた

足もとに咲く、すみれのような花が好きだ
季節が来るとちゃんと咲いてくれる

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