エープリルフールの思い出
その日兄と私は暖かな日差しに誘われて外で遊んでいた
私たちは庭に小さな田んぼを作って白米を蒔いて米の収穫を考えたり
ガラスの塊をダイヤモンドだと騒いで喧嘩になるいうなんか素朴な兄妹だった。
私はあまり悪戯ではなかったが兄の悪戯は超一流であった。
かなり近眼の父の眼鏡を隠したことがある
父が会社に出かけるまで、探したが見つからない
「あれ、こんなところにあった。」と玄関に置いてあった壺から眼鏡を出して見せる
父も時間がないのでその場で叱る時間もなく出かけて行った。
そんな私たちがこの日にすっかり騙された思い出がある。
あまりにものどかな春の日であった
笊を使って雀を取ろうなどと考えたりてあれこれ工夫をしていた。
えさは米がいいのかそれともミミズのようなものがいいのか
笊に紐をつけた棒の支えとつけて雀が来たら紐を弾くという仕組みだ
かれこれ1時間くらいあれこれ試みたことのことだった
「ほら、雀をつかまえたよ!」といって手の中にさも雀がいるように母が縁側にたっていた
私たちが駆けつけて「見せて」というと、
「今日はエープリルフールでした!」といって空の手を広げてみせた
私の人生の中で最大のエープリルフールであった
いつもどちらかというと真面目な母で、父に従順な母がそんな悪戯をするなんて…
今日はどんな嘘をつきましたか?
私は今日体の動きがわるくて、病気が少し悪化したようで
コーラスの楽譜を手で持っていられなくなったりして、
コートが自分で着れずに友人に着せてもらったりして
「すべてエープリルフールならいいのにな!」と思ったのでした。