その5 ナビカスの自由度が低い
これも一見すると欠点なのだが、むしろ良い。
一人用のRPGとして見た場合、大抵の場合、自由度は高い方が良い。それは間違いない。
だが対戦のことを考えると自由度の高さは足枷になる。6のようにプログラムマップが広く、その気になれば主要なアビリティの大半をつけることができる、というくらいカスタマイズの自由度が高いと、相手がどういうカスタマイズで対戦に望んでくるかを絞り込みにくい。
ここでいう絞り込みとは、対戦中に相手のアビリティを推察するという意味ではなく、フォルダ構築の段階で相手が付けてくるであろうアビリティを想定して対策したフォルダを組むいう話だ。
「スーパーアーマーをつけてくるかもしれないから、のけぞらせて繋ぐようなコンボは採用しないでおこう」とか
「エアシューズをつけてくるかもしれないから、デスマッチで穴を開けて移動制限するようなフォルダ構成は避けよう」とか
という感じで、自由度が高いほど相手のアビリティの想定が難しく、不確定要素のある攻め手が除外されてしまいやすい。
エグゼ3はスタイル型に組み込めるプログラムの種類が決まっている。
だから、基本的にスーパーアーマーとシールドを両方装備している人はいない。
いたとしてもサイトバッチを付けていてHPが少ないなど、その分露骨にどこかに欠点が生まれる。
よって、必ずしも全てのアビリティに対して対策をする必要がないし、手広く対策しておけばいずれかの攻撃手段が相手の弱点に刺さる。
繰り返しになるが、例えば6の場合、その気になれば主要なアビリティの大半をつけることができるので、スーパーアーマーつけられたら通らない戦略は除外。エアシューズをつけられたら通らない戦略は除外。フロートシューズをつけられたら通らない戦略は除外…となってしまって取れる戦略の幅が狭まっていると思っている。改造カードありだと相手がステータスガードをつけている可能性も出てくるので、状態異常に依存した戦略も死ぬ。
相手がアビリティを付けているかどうかわからないが、付けていた場合に破綻する戦略は取れない、というわけだ。
それを逆手にとって、どうせ状態異常なんか仕掛けてこないだろ?とばかりにアビリティを全捨てしてHPを盛りまくってくる可能性もある。
そういう、対戦が始まってからの読みや駆け引きではどうにもならない部分で有利不利が大きく付くバランスの対戦ゲームは、遊んでいて虚しく感じてしまう。運ゲーでしかない。
エグゼ6にはアンインストールは存在するが、フォルダに1枚しか入れられないチップに依存した戦略は安定しない。(そもそもアンインストールを食らっても、クロスやビーストである程度補填が効くので、やはりアビリティを解除する前提のフォルダは組みにくい)
仮に相手がエアシューズを付けていない前提で組んだフォルダで対戦に望んで、相手がエアシューズを付けていて、アンインストールを外してしまった時、自分はもう捨てゲーしたくなってしまう。勝つ事が目的なら、そこからどう挽回するかを考えるという楽しみ方もあるし、実際エグゼ6はそういうゲームだ。アンインストールが当たったら当たったなりの、当たらなかったら当たらなかったなりの立ち回りに臨機応変に切り替えて戦っていく。それはそれで面白さとしてはアリだと思う。
が、自分はエグゼの対戦において、勝つことを至上として考えていないし、臨機応変な立ち回りで勝ちたいとも思っていない。やりたい戦略を実現する事が楽しい。勝ちたい勝ち方で勝つのが楽しい。勝ち方にこだわりたいと思っているので、エグゼ3ホワイト版のようなバランスが好きなのだ。勝ち方にこだわらない人間なら、とっくの昔にフォルダリターン連打してΩランクに到達している。
これに関しては、エグゼ6が悪いとかそういう話ではない。作品が持つ面白さの方向性が3までとそれ以降で全く違っていて、単に自分は3の方向性が好みだというだけの話だ。
まぁ、3のナビカスは初登場だけあって、グランドスタイルのプログラムが全部使い物にならないとか、バランスの悪い部分があるのも事実だが、それらは存在する事でプラスには働いていないものの、マイナスにも働いていないので、無かったものとして目を瞑っている。
もっと言うと、防御的アビリティなんて何もない方が面白いとすら思っている。
エアシューズがあるせいで穴を開けて行動を制限する戦略は機能しないし、
スーパーアーマーがあるせいでのけぞらせて繋ぐ前提のコンボは機能しないし、
フロートシューズがあるせいで氷パネルで滑らせる前提の戦略は機能しない。
そんなアビリティならない方が、取れる戦略の幅が広がって面白いはずだ。
そう言う意味では、実はエグゼ2の対戦環境も面白いと思っている。
エグゼ2は開幕連打ゲーだと揶揄されるし、実際にその通りなのだが、フロートシューズもエアシューズもないので(チップはあるけど)実はパネルを巡る攻防がアツかったりする。
多分シリーズで最もパネルの効果がちゃんと機能している対戦環境だと思う。
また、エグゼ3のプログラムには、セットホーリーのような、性能に対して大き過ぎるプログラムも存在するが、逆に小さすぎるプログラムがない点は素晴らしいと思う。
バグストッパーがちゃんと大きいのとか素晴らしい。エグゼ4のバグストッパーなんかは雑調整過ぎて何を考えていたのか聞いてみたいくらいだ。
ビートサポートが大きく、ラッシュサポートが小さいのもとても正しい。相手の防御を弱めるプログラムは付けやすく、相手の攻撃を弱めるプログラムは付けにくい。実に正しい。ビートサポートはあんなに大きいのにちゃんと採用の選択肢に入ってくるので、良いバランスだと思う。
サイトバッチの組み込みにくさも適切だ。
強いのは間違いないが、HPの盛れなさ具合が適切で、ホワイト環境であれば防御が薄くなりやすいこともあり、PAで一撃で沈むような場面も多くなる。
別の記事でも書いた通り、バスターを強化するプログラムが大きいのも良い。正直言うとアタック+はもう1マス小さくても良いとは思うが、バスターが強いバランスになると面白くなくなるので、そうならないようにしっかりと考えてセーフティがかけられているのを感じる。
スーパーアーマーも、プログラムのサイズだけを見れば小さすぎるのだが、赤いプログラムなため、組み込めるスタイルが限定されている、という形でバランスが取れている。4以降はそのことを忘れて、スタイルが限定されると言う弱点なしにそのままのサイズで登場するので、小さ過ぎて強すぎると思っている。
ブレイクバスターがデカいのも正しい。あんな物をほいほい組み込まれたらたまったものではないから。置物チップが全部死んでしまいかねない。
なんというか、エグゼ3のナビカスは、ガバな部分も多いのだが、絶対に外してはいけない部分の調整だけはちゃんと調整されている印象を受ける。
…シールドだけは性能に対して小さすぎる気もするけど、どちらかと言うとシールドの性能が高すぎるだけだと思うしなぁ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?