留学生の就職
A
日本に来て初めて日本語を日本語学校で2年間集中的に学び、その後2年生と4年生とがある私の勤め先の専門学校で学んでくれているアジアからの留学生とのクラスでの会話
私:
6月になると、23年3月卒業予定者のための会社説明会がたくさん行われます。日本で就職希望の皆さん、できるだけ参加してくださいね。
ネパール男子学生A :
先輩から、会社説明会に出席しても、私たちは、(日本語能力等の問題で)就職できないと聞いています。就職できた例はないと聞いています。
私:(意外な応答にやや戸惑いながら)
就職が簡単でないのは事実。しかし、それでも会社説明会には参加すべきです。
ネットだけの応募なら、新卒採用募集要項に、
「留学生の場合はN2(日本語能力試験の上から2番目)が必要」と書かれていたら、会社の人に会うこともなく、N2未取得のあなたたちはアウトでしょ。
(卒業までにN2を取得できる学生は多くない)
しかし、会社説明会に出て、あなたたちの話す日本語を会社の人に直接聞いてもらいなさい。
そして、あなたたちの優しい人柄を会社の人に見てもらいなさい。
そうすれば、「あなたの日本語なら当社で仕事をしてもらえると思うから、
次の面接に進んでください。」となって、突破口が開けるかもしれない。
何も行動しなければ、何も生まれないでしょ!
(ネパール男子学生A 一応納得)
ネパール女子学生B:
私は、絶対来年3月までに就職を決めたい。
私:
それなら、介護の特定技能試験に合格して介護の仕事をしたらどうか?
ネパール女子学生B:
私は、アルバイトで介護の仕事しているが、介護の仕事は大変。
全く動けない人もいる。
私:
それなら、飲食料品製造業の特定技能試験に合格して弁当工場で働いたらどうか?
ネパール女子学生B:
弁当工場の仕事は、一日中、同じ作業を繰り返すので、介護の仕事よりも大変!
ネパール男子学生C:
私たちは、4年間日本で勉強することになるのだから、
それにふさわしい仕事に就きたい。日本人学生が敬遠する職種に
つくことは希望しない。
B
留学生は学校を卒業すれば、留学ビザが失効するので、日本に止まりたい大多数の留学生は、就職して就労ビザを取得する必要があります。
就労ビザのひとつとして、3年ほど前にできた特定技能ビザがあります。
これは、介護、飲食料品製造業、建設、宿泊業、外食業、産業機械製造、
農業、漁業、ビルクリーニング、素形材産業、電子・電機情報関連産業、
造船・舶用工業、自動車整備、航空
の14の特定産業分野ごとに実施される試験に合格したのち、
就職活動後会社等に内定をもらって就職したら、最長5年間日本でその仕事
で働けるというビザです。
特定技能の試験に合格しておくと留学生の就職のグーッと確率が高まります。
しかし、このビザは留学生にあまり人気がありません。
理由は、留学生が結婚しても配偶者にはビザが出ないこと、及び、
最長5年で帰国せざるを得ない制度であることを留学生が嫌うからです。
C
ネパール学生の言い分はわかります。
彼らは、かなりのお金を払って4年間日本で学んでおり、
自分たちは働くためだけに日本に来ておられる技能実習生とは違うんだ、
というプライドが留学生にはあると聞いています。
技能実習生が活躍する産業分野と、上で述べた特定技能ビザの認められる
産業分野はほぼ一致し、(大雑把には)人手不足の産業分野とひとくくりに
できる分産業野と言えそうです。
経済の単純原理からは、人手不足なら待遇が上がっていくはずですが、
それが、はかどっているのかどうかはよく分かりません。
アジアの親日国から来てくれている留学生諸君が活き活きと働ける職場を探
していく一方で、
そのような働く場を私達で創造できないか、夢見ています。
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