旅人(ポジティブということ)
ある町の入口に一人の旅人が立っていました。
長旅からの疲れか、頬は削げ落ち全身は埃にまみれていた。強い日差しがそそぐ、その町の入口は、太い二本の丸太が門をあらわすように地面に突き刺してあり、町の名前を書いたプレートが無造作に釘で打ち付けられていた。
旅人は足元に重たいバックパックを置いた。その中から擦り切れた地図を出し、自分が来た道を汚れた指でなぞってみる。
「どこから来たのかね?」
突然、しわがれた老人の声が旅人の耳に届いた。驚いた旅人は声のする方へ目を向けると、いつからそ