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染み入る親切
昼間ひとり家にいると
ピーンポーン…とインターホンが鳴り、
「こんにちは~。少しよろしいでしょうか…」的な感じで、外壁塗装やらシロアリ駆除とか、営業の人が訪ねてくることがある。
今日も。
ピーンポーン。
(また、なにかの営業かな…)
「…はい。」と、不機嫌そうにインターホンに出てみる。
「あの…、お宅の裏手で作業しているものですが、お宅の瓦屋根の一部がはがれていて、雨が入っているのが気になりまして…。」
(むむむ。名乗りもせず…また怪しい営業かなにか、かな。)
「で、どんなご用件ですか?」
「雨が降って、そこに雨水が入っていると、雨漏りの原因になるんで。詳しく説明したいんで、ちょっと出てきてもらえますか?」
(ははーん。)
以前にもそんなことがあった。
大手ガス会社の名前をだして「表のメーターを点検するので立ち会ってほしい」と言われ、なんの疑いもなく外に出てみると「ガスの不具合を検知するサービス」の営業とかで、大手ガス会社の方ではなかったことがありました。そもそも、ちゃんと名乗らなかったこと、訪問の目的が最初の声掛けが違っていることに不信感しかもてず、「結構です。」とお断りしました。
実際に対面で顔を見ると断りづらいお年寄りとかだと、もしかしたらサービス契約したりするのかな、というのが頭によぎったり。
へんな沈黙が続いて…
(とりあえず、聞いてみるだけ、聞いてみるか…)
のそのそと、玄関口に行く。
と、そこには、作業着姿の30代くらいの男性がひとり。
(見た目、営業マンっぽくはないか…)
「裏の家で作業しているもんなんですが、お宅の屋根瓦が見えていて、上のところの大事なところ、こーなってるところのこの部分が(身振り手振りで教えてくれてましたが、私にはあまりわからず💦)、1枚だけ剝がれてるところがあるんです。で、それそのままにしておくと、そこから雨が入って、雨漏りになるんです。今日も雨降ってて、これからも雨は降るんで、早めに直さはったほうがええと思って。気になって、それだけ言いに来たんです。」
「へ。あ…そうでしたか💦」
彼は怪しい営業マンなんかではありませんでした。
彼は職人として「見えてしまった他人のお家の瓦」が気になって、教えてあげないと雨漏りになって困る、と心配してくれたんですね。
私の実家が工務店なので、そのことを伝えると、
「あぁぁ、そうでしたら、実家に言うてください。工務店なら、取引のある業者さんもおられると思うし、そのほうが、よくしてくれはると思うんで。」
確かに、屋根に上らない限り絶対見えないところですし、教えていただかなければ、天井からある日突然、雨漏りするまで気がつかなかったでしょうから。
すごく親切に教えてくれたわけです。
(いや、神かよ~😭✨)
初動で怪訝な対応をしてしまった、自分を大いに反省しました💦
「親切に教えていただき、ありがとうございました。」と何度もお礼を言って、お別れしました。
職人魂とでもいいましょうか。かっこよすぎるやん。
うちの天井に雨が染み入ることなく、
彼の親切だけが私の心に染み入ったお話でした。