創作エッセイ 私は恋人、あなたの
とぼけた囚人が、腕を絡めて私の目を見つめる夢を見た。そこにあるじっとりとした熱に浮かされていた。
朝起きても背中がじんわりと熱を持ち、全身が少しゾワゾワとしているのが悔しかった。
私は囚人服を着ていて、相手も勿論そうで。けど相手だけは、髪も服も整えられていて化粧もしていて、とびきりの美人だった。
女としての嫉妬心と、空間に浮かんでいる性的な文字たちを払い除けて、ただ彼女の美しさだけに集中しようと努めた。
が、今日から私はどうなっていくのだろうか。夢の中の恋人を追い求めて。