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ブラッサンスの「結婚行進曲」

日本語(訳詞)にしてしまうと、もとのフランス語詞の意味が十分に伝わらないシャンソンがある。
ジョルジュ・ブラッサンスは、日本の音楽関係者から「来日公演をして欲しい。」と度々誘われたものの、「日本人はフランス語がわからないんだろ。じゃあ、俺が行って歌う意味なんてないじゃないか。」と言って断った。
彼の比喩や諷刺に富んだ素晴らしいシャンソンをフランス人はこよなく愛した、いや今でも愛している。でも、それを日本人が理解するのは並大抵のことではない。その歌を生んだ文化・社会的な背景を知らずに真意は測りかねない。しかも、日本語詞にしてしまうと、言葉数が足りず、細かいニュアンスは伝えられない。
そうした「残念な」シャンソンをフランス語的に紐解いて、どんな歌なのか詳しく解説したいとずっと前から思っていた。

まずは、ブラッサンスから試みたいと思う。
彼の歌は、リズムが単調で伴奏もギター一本で淡々とコード進行して行く。ジャズのように歌詞がわからなくてもリズムとメロディで楽しく聞いていられるタイプの歌とは正反対で、フランス語歌詞の意味が聴き取れなければ本当に退屈してしまう代物だ。
だから、日本人には解説が必須となると思う。

結婚行進曲と言えば…

最近はホテルで大勢の人を呼んで結婚披露宴をする人が減ったような気がする。地味に仲間内でやったり、あるいはパーティ自体しない人もいたりする。嘗ては、ゴンドラで新郎新婦が天井から降りて来るというド派手な演出もあったのが懐かしい。
ところで、結婚行進曲と言えば、ワーグナーかメンデルスゾーンのそれを思い浮かべる方も多いのでは。
前出のジョルジュ・ブラッサンスが一味違った「結婚行進曲」を歌っているので、ぜひご紹介したい。

彼がこのシャンソンで歌っているのは、豪華とは真逆の清貧な結婚式だ。

Je garderais toujours le souvenir content
Du jour de pauvre noce où mon père et ma mère
S'allèrent épouser devant Monsieur le Maire
僕は、自分の両親が市長さんの前で結婚を誓いに行った、
貧相な結婚式の日の楽しい想い出をいつまでも持ち続けることだろう

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