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人に説明するときに心がけていること
週末、天気が良かったので、近所のお花屋さんで花を買い、台所や玄関に飾ってみました。3月はお雛様、義母が玄関にお雛様の色紙を飾っていますので、その横に花を生けてみました(見出しの写真です)。つかの間の春を感じていますが、このあと大雪の予報、どうなることやら。
さて、私は今、病院で入退院に関する仕事をしています。週に数回、転院してくる予定の患者さんのご家族と面談を行っています。私の部署に、入職1年目の社会福祉士が2人います。私は、時にその指導役として一緒に面談に入ることがあります。
先日、その社会福祉士Aさんと一緒に転院に向けた面談を行った時がありました。無意識だと思いますが、医療の専門用語をつい使ってしまうAさんをみて、感じたことを書いてみようと思います。
人に説明すること
ふだんの生活をしていても、人に説明する機会って案外あると思います。ちょっとしたことでも主語が抜けるとわからなかったり、相手の知らないことを説明するって、すごく難しかったりすると思いませんか?
以前、なんの研修だったか忘れたのですが、2人一組になって、自分の目の前にあるものを相手に口頭で伝えて、相手に作ってもらうだったか、書いてもらうだったか、なんかそんなことをした覚えがあるのですが、これがすごく難しかったことを覚えています。
自分の目の前にあるものの特徴を伝えるって、自分の主観的・客観的な捉え方だったり、表現力だったりが関わってきます。聞く方も、聞いてイメージする力だったり理解する力だったりが関わってくるし、そのイメージも自分の過去の経験からくるものが大きいと思うのです。つまり、お互いに自分の過去の経験や知識が大きく関わってくるのだと思います。
自分の伝えるスキルと、相手の受け取るスキル。そして、自分の理解度、相手の理解度が違うと、説明したことを理解してもらうことって、ホントに難しいのだと思います。
医療の場面での説明
私は、今の病院に勤める前は、千葉県の総合病院に勤めていました。医師が患者さん、そして家族に説明するときに、専門用語をよく使ったり、ちょっと難しい言葉を使ったりすることがありました。患者さんやご家族は、わからないような様子でも、それに対して質問してくることは稀で、いわゆる“わかったふり”をしている、そんなことが多かったように思います。
そんな時は、後からわかりにくいとこはありませんでしたか?と聞いたり、補足の説明を加えたりしていました。そうすると、「ああ、そういうことだったんですね。」と返事が返ってくることも多かったです。
最近は、病状説明用紙を使って説明することも多くなったので、少し伝わりやすくなったとは思います。
先生の中でも、「いい先生」と言われるような先生は、やっぱり説明も上手で難しい専門用語は使わずに説明されます。逆に、日ごろからコミュニケーションの取りづらい先生は説明がわかりにくい、難しい言葉を使うような印象がありますね。
「いい先生」と言われるような先生は、やっぱり相手の気持ちがわかったり、出来るだけわかりやすい言葉を使って説明しているように思います。
入院にむけての面談で
私が行っている入院にむけての面談では、今までの生活歴や病歴を確認したり、療養型病院で出来ること・出来ないことの説明をしたり、今後についての家族の意向を確認したりしています。その上で、転院の希望があるかを確認し、入院日を決めています。
その話の中で、どうしても専門的な話をしなくてはいけなかったりするのですが、そういった場面で医療の専門用語を使ってしまうと、ご家族はよく理解が出来なかったりします。
入職して1年目の社会福祉士Aさんは、無意識だとは思いますが、つい専門用語を使ってしまう場面が多く、例えば、難しい病気の名前をそのまま伝えてしまう、点滴の中心静脈栄養をCVと言うのですが、そのままCVと言ってしまったり、普段、院内で話をしている言葉をそのまま使ってしまうのです。結局、一緒に面談に入っている私が補足説明をすることになりました。
私は、難しい言葉を使わず、患者さんご家族が理解できる言葉を使うこともひとつの技術かなと思っています。相手の反応をみながら言葉を選んだり、話の途中でわかりにくいところはなかったか、質問はないかと聞いてみたりして、疑問が残らないように気をつけています。
Aさんには面談での振り返りをしてもらい、難しいことばをわかりやすい言葉に変えて説明することが大事であることを伝えました。Aさんは「日本語って難しいですね。」と言っていましたが、私は、いかに相手の立場で話ができるか、相手に対する思いやりなのではないかと思っています。
さて、次の面談ではAさんの成長がみられるでしょうか。
期待していきたいと思います。