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気持ちで、使う言葉や姿勢が変わる
「私とあなた」と「あなたと私」
同じ意味のように感じますが、考え方が全然違うんです・・・。
そんなことを金子みすゞ記念館の館長、矢崎節夫さんのインタビュー記事を読んで考えさせられました。
あなたと私
金子みすゞ記念館 館長の矢崎節夫さんという方がいます。
金子みすゞさんを知っていても、矢崎節夫さんってあまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。
矢崎節夫さんは、金子みすゞさんの詩を世に広めた人です。これは、昨年、金子みすゞ展に行った時に私も知りました。
その矢崎節夫さんのインタビュー記事を読んで、ハッとしました。
「二つで一つ」とは「どちらも大切」ということです。「光と影」で一つですから、「光の方が好きで、影はきらい」と言っても影がなければ光は成り立ちません。だから、すべて「二つで一つ」「どちらも大切」なのです。・・・中略・・・「私とあなた」という考え方は自分中心、自分優先です。本当の順序は「あなたと私」なのです。
先にあなたを理解する気持ちがあると「あなたと私」になる。
そして、「あなたを理解する」。
理解とは、英語でunderstand、「下に立ちなさい」
自分のまなざしを相手のところまで下げることで「私とあなた」から「あなたと私」になれるのだとか・・・
なんだか深いなぁ・・・そう思って何度も繰り返し読んでいました。
相手に寄り添うということ
看護学生時代に、相手を受容するとはどういうことかを学び、そして、患者さんの話をきくことの大切さを学びました。
その中で印象に残っていて、今も気をつけていることの一つに〝目線の高さを合わせる〟ということがあります。
患者さんと話をする看護師。
ベッドに寝ている患者さんに看護師が立ったまま声をかけると、上から見下ろしていることになります。患者からみるとどうでしょうか。
understand、「下に立ちなさい」
ここに通じる行動だったのかなぁと、なんだか新鮮な気持ちになり、看護学生時代の、まだ若かりし頃の自分の気持ちを思い出しました。
相手を理解するということは簡単なことではありません。
でも、理解しようとすることはできますよね。
それが相手に寄り添うということなのかもしれません。
まなざしを変えたら、気持ちを変えたら、なにかが変わる要因のひとつになるのかもしれないですね。
金子みすゞという人
金子みすゞと言っても、私自身、名前は知っていたけれど、あまり詳しくは知らなかったんです。
昨年、金子みすゞ展に行った時に、展示してあるものをみたり読んだりして初めてどんな人なのか知りました。
本名金子テル、明治36年に山口県に生まれ、明治、大正、昭和を生きた人。
小さい時から苦労していたけれど、とても頭がよくてこの時代には珍しく高等女学校に進学しています。23歳で結婚して、26歳で自殺、自分の子どもを母に託したそうです。
今の時代では理解出来ない時代背景があるんでしょうね。長く日の目をみることの無かった金子みすゞの童謡は、矢崎節夫さんが探し続けてこの世に知られることになったそうです。
「この世に無用なものはない」という金子みすゞさんの深いまなざしがたくさんの詩に綴られています。
これは有名な「私と小鳥と鈴と」
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みんな違うんだよ、みんなそれぞれの良さがあるんだよって言ってもらっている気がします。
よく知っている童謡に
〝大きなくりの木のしたで〟という童謡
おおきなくりの きのしたで あなたと わたし たのしく あそびましょう おおきなくりの きのしたで
この歌のなかにも「あなたと私」という歌詞が出てくるんです。
どちらも大切だから「あなた」がいて「私」がいる。
いつも当たり前に、私を主に考えがちですが、これを機会に、先に相手なんだと、相手を理解しようとする姿勢・気持ちから、人との関係性を作っていくのだと改めて感じることができたので、これから心がけていきたいなって思います。