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障害者の受け入れ施設がないという問題を聞いて思うこと

朝、NHKのテレビをみることが多いのですが、障害者、特に知的障害者が入所できる施設がないという特集をしていました。

実感としては、背景に人手不足があるのだろうって思います。

ただ、現実的な問題として、障害者を自宅でみている家族としては不安が大きいだろうって思います。どんな世の中になっていけばいいのか、そんなことを考えさせられました。



障害者の受け入れ施設がない

障害のある子どもと同居している親の中には、みずからが高齢になり、子どもの将来を考えて「入所施設」の空きを待ちながら過ごしている人もいます。

障害を持つ子どもをみている親の高齢化。大きな問題です。

記事の中で書いてあったことは・・・。
●自宅などで暮らす障害のある人は、国の推計で全国で600万人を超え、障害者手帳の保有者別では身体障害者が415万人、知的障害者が114万人、精神障害者が120万人となっている。
●障害のある人が入所施設の利用を希望しながら待機状態にある人全国に少なくとも延べ2万309人いる。
●障害のある人が、グループホームの利用を希望しながら待機状態にある人が少なくとも延べ1910人いる。
待機者の7割以上は知的障害者

実際は、もっと多いことが予測されるようですが、ひとつの現状把握にはなるのだろうって思います。

高齢者もそうですが、国の方針としては、在宅、あるいは在宅扱いの施設での生活を送れるようにという力を入れています。

しかし、現実は在宅の介護力の低下、そして在宅扱いの施設、例えばグループホームなども働く職員の確保が難しい

特に知的障害者など、どのように関わっていく必要があるのか、ある程度の専門知識も必要であり、関わる職員は誰でもいいわけではありません。

圧倒的に、受け皿が少ないのだろうって思います。

家庭でみることが出来なくなった障害者は、どのように生きていけばいいんでしょうね。

私が関わったある家族

以前の職場は総合病院でした。当時、訪問診察なども行っており、私は訪問診療に同行する看護師として仕事をしている時期がありました。

ある日、病院の窓口に、高齢の男性が息子のことで相談があると声がかかりました。

相談の内容は、一緒に住んでいる息子さんが幼い時に脳性麻痺になり、今まで両親がそーっと介護を続けてきたが、今後が不安になり一度みてもらえないか、そんな相談だったのです。

今までほぼ医者にかかったことがなく、両親が家から出さずに見てきたようでした。一人で動くことも出来ないので、父親が抱っこをして入浴していたそうです。つまり、医療も福祉も入っていない状態でした。

普通は訪問診察にいく対象ではなかったのですが、優しい内科の医師に相談したところ訪問に行ってみようということになり、ご家族にとっては初めて医療に関わることになったのです。

採血など自宅で出来る検査を行い、今までの生活のことを聞き取っていきます。ご両親は80代くらいだったでしょうか。そして、脳性麻痺の息子さんは私と変わらない年齢です。

家では、居間に寝そべって過ごし、体をくねくねとさせています。意思の疎通は難しい様子でしたが、両親とはなんとなくコミュニケーションが取れているようでした。表情などでわかるという感じです。

親子ともども、長く人が家に来ることがなかったようで、医療に関わって欲しい反面、頻回な訪問は居心地が悪そうでした。なので、訪問の間隔をあけたりして気長に関わり、障害手帳の取得や、障害福祉での移動手段の確保、入浴への支援などを行っていきました。

ご両親も、自分たちが高齢になってきたことで今後の漠然とした不安を持っているものの、具体的にどうしていいかわからないという感じでしたので、将来を考えて施設という選択についても話あっていきました。

その後のことは、私の担当を外れたこともありわからないのですが、ひと昔前は障害者を家で隠すように育てていた時代もあったので、そういった方を医療福祉につなげていくということが必要な人もいるんだろうなと思ったのです。

現実を知ること

障害者の入る施設が不足しているという現実を、ニュースで聞いてもすぐに何ができるわけではありません。

でも、このような現実があることを知るということから始めていくのでも十分なのかなと思います。

私はどちらかと言えば、高齢者の医療福祉に携わっているのですが、施設は足りていない状況ですし、やはり人手不足は感じるところ。地域差も大きいですね。

あとは、金銭的な問題も抱えているだろうと思います、障害年金の受給はあるのでしょうが、管理する人がいなくなった時のことも考えていかないといけないです。

現実を知りつつ、自分に出来ることを考えていく、そこが最初の一歩なのかなと思っています。

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