制度のハザマで生きる高齢者の現実
日本は、社会保険制度が整っている国ですが、やっぱりいろんな制度って穴があるわけで、ちょうどハザマの人ってなんだか損と言うか不憫というか、そんなふうに思うのです。
今日は、仕事で知った年金額が生活保護の金額より少し多い高齢者の実情について書いてみようと思います。
少しでも年金を多くと考えて、現役時に頑張った結果が余計に生活を苦しくする、そんな話です。
高齢者Aさんの経済状況
私は、療養型病院で入退院の窓口の仕事をしています。
先日、近くの総合病院から転院の相談がありました。
総合病院の転院相談をしてきた方の話では、Aさんは施設入所を検討しているが、食事摂取量が不安定なため、しばらく当院で様子をみてもらい、食事摂取量が安定したら、施設入所をさせてほしいという依頼でした。
しかし、です。
年金額が少なく、この年金額で入れる施設ってあるでしょうか。病院の入院費用もギリギリ払えるかどうかの年金額です。
そして、もう一つの問題が身寄りがないということ。入院の際の保証人にあたる人がいないのです。金銭管理は日常生活自立支援事業を使っています。通常、入院(転院)の際に相談する人は親族ですが、Aさんの場合はケアマネージャーと日常生活自立支援事業の担当者になります。
さて、当院への転院はできるのでしょうか。
制度のハザマ
Aさんのことを考えていく時に、一番の問題は年金額が少ないということ。少ないなら、もっと少ない方がまだ良かったのです。そんなことを言ってはいけないのですが、これが現実です。
年金額がこの地域の最低生活費より1,000円ほど多い金額なんだそうで、なんとも微妙な金額(苦笑)。
最低生活費ってそんなに低いんだっけ?って思いネットでみてみると、もう少し高いような気もしますが、地域や家庭の状況に最低生活費は違ってくるため、正確な数字は役場が把握しており合っているのでしょうけれど。なんとも、釈然としません。
これが制度のハザマというやつなんでしょうね。
年金が、もっと少なければ部分的にでも生活保護が受けられるのにって思いました。こういうハザマの人は、どうしたらいいんでしょうね。
転院にむけての面談から感じたこと
さて、転院にむけての面談ですが、ケアマネージャー(地域包括支援センター)と日常生活自立支援事業の担当者が来てくれました。
今後の方向性としては施設と聞いていましたが、本人がかなり頑固な性格でどしても自宅に帰りたいと言っているそうです。なので、賃貸契約の自宅はそのままの状態、つまり家賃と公共料金(基本料金)がかかってきます。そうすると、年金-(家賃、公共料金)=6万ちょっと?になってしまい、医療費は区分Ⅱを持っていますが、入院費の支払いは出来ません。
さて、どうするか。
施設と言っても、この金額で入れる施設はないですし。たとえ本人が転院や施設を了承されたとしても行き先がないのです。
結論、今の状況でのお受入れは難しいという話になり、いったん今の入院先で金銭面や今後のことを考えてもらうことになりました。
やっぱりお金や頼れる親族は大事ですね。
全くの身寄りがない人というのは、こうやって公的な人が親族のように動くことになりますが、当たり前ですが親族ではありません。出来ること、出来ないことが出てきます。
ただ、もし亡くなった場合などは、福祉課で事前に相談しておけば、身寄りのない人として対応してくれるそうです。そこはひとつの安心材料です。
Aさんも金銭的余裕があったり、頼れる家族がいたら、また話が違ってくるんでしょうけれど。
これからこういった人が増えていくんでしょうね。
「年金額がハザマの人は難しいですね」と担当者に聞いてみましたら、こういったケースは決して珍しくはないようです。公的機関も大変そうです。
私も、しっかり将来に備えないといけないって改めて思いました。