おひとりさまの住所に困るとき
病院で、入退院に関わる仕事をしています。
最近、身寄りがない、成年後見人がいる、生活保護、などの生活背景をもつ方が増えてきている印象があります。そして、入院の際に、住所をどうするか、そういう問題を抱えた方がいます。
そういう面に、行政は関わってくれないのでしょうか。
親族はいるけれど
先日、入院したAさん。60代の男性。
進行性の難病を持っている方で、長く障害者施設に住所を置き生活してこられました。兄弟が1人いて、時々関わってくれていますが、遠方に住んでいます。日常的なかかわりは叔母さんになります。
経済面は、難病手帳、障害手帳を持ち、障害年金をもらって施設で生活しているとそれほど問題はなさそうです。
ただ、もともとの住所が障害者施設にあり、長い入院に伴い、施設は退去となるため住所をどこにするか、そういう問題が出てくるのです。
入院前の面談では、日常的な関りをしてくれている叔母さんの住所に移すことで話をしていました。
先日、市役所の方から電話がありました。
「病院には住所を移せませんか?」
「病院は、生活する場所ではありませんので、住所を移せません。」
こんなやり取りをしました、なぜ叔母さんの住所に移せないのか聞いてみました。叔母さんの住居は公的住宅、いわゆる団地と呼ばれるところで、規定により住所を移せないんだそうです。
さて、Aさんの住所はどうなるのか?
もともといた障害者施設、退去後も住所をそのままにしておいてもよいか交渉してみるのが、一番現実的なのかもしれません。
特養入所している高齢者の場合も、住所をそこに移してしまっているので、長い入院になり特養退去しても住所をそのままにしているという方は少なくありません。
これは、家族と同居より独居のかたちをとっていた方が、医療費の減額が受けられる場合もあるからです。これはこれで、制度設計を見直した方がいいと思うのだけれど(苦笑)
身寄りがない時
身寄りがなく、後見人がついているBさん。50代の男性。
この方は、もともとかなりの遠方の方なのですが、家族と金銭的な問題を抱え、1人で仕事をしながら転々と生きてきた方です。
なので、厳密に言うと家族はいるのですが、絶縁状態ですので、死んだときだけ連絡くださいというパターンです。
仕事中に脳梗塞で倒れ、医療が必要な状態となって入院を継続することになりました。入院中に後見人がついて、金銭管理をしています。
この場合の経済面は、傷病手当金、その後は障害年金という感じでしょうか。金額によっては、生活保護という場合もあるかもしれません。
住所は、もともと社員寮だったようで、退職しても、住所を置かせてもらうことで話をしているようです。
考えてみれば変な話です。
これからの時代に
家族機能が失われている現在。
身寄りのない方、住所不定の方、今後も増えていくのではないか?と思っています。単身で身寄りがない場合、住所ってどうなるんでしょうね。
施設や賃貸に住んでる場合、住所をどうするかという問題が出てきます。そもそも、住所って必ず必要なんでしょうか?
そこは、行政がなにか方法を提示してくれると助かるのになぁ・・・と思うこの頃です。