生活保護の不適切対応に関する報道をみて感じたこと
夕食後にテレビをふとみると、NHKで生活保護を運用する自治体の不適切対応について、そしてその背景について放送されていたので、ついつい見てしまった。
生活保護の申請数は年々増え、受給する世帯数は現在、約165万世帯あるそうです。そして、それをフォローする実際の職員たちの苦労もまた大変なことだろうと推測します。
何事も、物事を一面だけでとらえず、いろんな面からとらえてみることは大切って思いますので、生活保護について私自身の感じたことを書いてみようと思います。
生活保護の実態、テレビより
NHKで放送していた内容は、以下のとおり。
最後のセーフティーネットと言われる生活保護。群馬県桐生市では、保護費の未払いなど不適切な対応が発覚し、生活保護からの自立に向けた行政側の対応に、課題が見えてきた、と言う内容で放送されています。
生活保護を受給している人からの訴え、実際の自治体の対応について問題があったのではないか、という問いを投げかけています。
具体的には、窓口で相談をしても申請させてもらえない、受給が開始されてもきちんと支払いがされない、など、それだけ聞くとなぜ?と不思議に思う内容です。
実際、私も長く病院に勤めていた経験から、生活保護の申請の相談に行っても相手にされず、第3者の協力があって初めて申請ができたケースなども聞いたことがあります。申請までのハードルが高い印象はあるのです。
一方で、生活保護世帯は比較的余裕のある生活を送っているのに対し、年金額が少なくぎりぎりで生活している世帯を知ると、なんとも不公平な気がしたりしたものです。制度の穴みたいなものなのでしょうか。
それにしても、受給が決定されているにも関わらず、ちゃんと支払いがされていないケースがあるのかと、テレビをみてびっくりしました。
今回は桐生市を例にしていますが、どこでもある話題なのではないかと思います。
支援する側の立場
こういった報道があると、自治体の対応が悪いという話になることも多いと思いますが、支援する側の実情というのもしっかり考えていかなければいけないと思うのです。
実際、報道のなかでも実際の支援する人の苦労や問題点なども描かれていましたが、支援する側の実情はかなり厳しいのではないかと思います。
一人の支援者が担当できる人数の上限が80人と言っていましたが、実際は100人以上を担当していることも多いようです。1日に訪問できる数は限られていますし、自立支援への働きかけを含むと相当労力がかかるのではないかと思います。
きちんと治療を受けないのでそれを定期的に訪問し促していたり、知的障害があって金銭管理ができないのをフォローして自己管理ができるように支援をしていたり、一般的には知られない苦労をたくさんしておられるのではないか、そんなことを想像させられました。
実際、私も最近関わった生活保護を受けている患者さんですが、入院中にもかかわらず入院生活が制限が多くて不都合だとか不満ばかり、保護担当者に来て欲しいという要望が多く、週に何度もきてもらったり、最終的には退院して他の施設へ入所するためのお手伝い、具体的には施設の下見に半日かけて一緒にいく、施設や病院とのやり取りなどをしてもらい施設へ退院となりましたが、一人の担当者にかなりの日数をかけていたのではないかと思います。
この保護担当者の方にそうっと一人で何件抱えているのか聞きましたら、やっぱり80人ほどの担当を持っていると言っていました。単純に考えてみると、月20日仕事をし、月に1人1回関わると考えると、1日に4人の対応をしつつ、事務的なこともしていかなくてはいけない状態となります。そして関りが深くなると1人の方への対応で1日必要になることがあれば、とたんに他の業務が滞ることになります。
制度の在り方も考える必要があるのかもしれません。
必要な人へ必要な支援が届く世の中へ
必要な人へ必要な支援が届く、そんな優しい世の中になればいいなぁと思っています。
なかなかそんな単純な話ではないのは分かるのですが、制度の在り方を見直さないといけない時にきているのかもしれないって思いますね。
憲法で定められている最低限度の生活の保障って、どういうことをいうのでしょうか。
生活保護にも、扶助の種類がたくさんあります。生活、住宅、医療、教育、介護、等々。
必要な支援はなにかを見極めることも大変な作業ですが、そこがマイナンバーなどで管理をすることで管理しやすく、判断しやすくできる世の中になったらいいなと、そして、支援する人、される人、両方への関心が高まればいいなぁと、ふと思ってみました。