施設の虐待事件に思うこと
私の住む地域の高齢者施設での虐待事件が報道されました。
身近にあると、やっぱりびっくりするのですが、決して他人事ではないなぁと思いますし、事件の背景にあるものをつい考えてしまいます。
最近、高齢者施設だけでなく、障害者施設、保育所などでも虐待などの報道を時々耳にすることがあり、やっぱり心が痛みますね。
高齢者施設での虐待
昨日の新聞の見出しが、この事件でした。
事件の内容として書いてあったのは、特別養護老人ホームの介護職員による行為
・入所者の頭をテーブルに押さえつけ、けがをさせた
・複数の職員が入所者に強い口調で対応した
・ナースコールに応じなかった
・ナースコールを手の届かないところに置いた
記事の中では、このように書いてありましたが、実際の現場ではどうだったのかなと思わずにはいられません。
高齢者を必要以上に大切にしないといけないとまでは思いませんが、人間の尊厳をないがしろにする行為は、やはり改善が必要だと思います。
今回の行政処分の前に指導のようなものがきっとあったと思うので、改善が出来なかったのでしょう。施設の体制というか風土のようなものもあるのかもしれません。
虐待事件の背景を想像してみる
私は療養病院、夫は介護医療院に勤めていますので、今回の事件は決して他人事ではありません。
夫の職場では、この事件を受けて朝礼で言葉遣いなどにも気をつけるように指導があったそうです。ついつい、話言葉で患者さんに言ってしまう言葉にも、配慮しましょうということなのでしょうね。
私の現職場、前職場でも、虐待と言ってもいいくらいの言葉遣いを聞いたことがあります。寝たきりで話が出来ない患者さんの場合、つい気が緩むのでしょうか。患者さんの前でそんな言葉を使わないでほしいと思うことがやはり実際あるのです。これは、やっぱり職員の人柄、性格が出るところなのかもしれません。
あと、ナースコールなども頻回に押す患者さんの場合、対応しきれずに押せないように手の届かないところに置くなどは見聞きしたことがありますし、体のケアのあとにナースコールを戻し忘れて患者さんが困っているところに遭遇したこともあります。
原因はいろいろとあるのでしょうけれど、そのひとつに人手不足があるのは想像がつきます。
病院や介護施設では患者、入所者にたいする人員配置が決まっており、その人数を確保するのはどこの施設でもかなり大変です。どこの施設でも年中募集が出てますしね。
ギリギリの人数で仕事をしている上、急な休みやコロナでの数日間の休みがあると、途端に人がいなくて回らない状況になっていきます。でも、患者さんは待ってくれませんので、職員も疲弊してしまうんですよね。
それから、患者、入所者の定員というものがどこの病院、施設でもあります。患者さん、入所者の高齢化も進んでいますので、当然亡くなる方も増えています。病院、施設の経営を考えると、定員割れは収益の減少につながりますので、退院、退所があれば、入院、入所をすすめていくことも必要になります。これはどちらも、とても労力が必要になります。現場は結構お尻叩かれているのです(泣)
いろいろあげるとキリがありませんが、どこも人手不足が根底にあるのかなぁ・・・と思わずにはいられません。
それでも・・・
いろいろと虐待事件の背景を考えてみましたが、虐待そのものはもちろん許されるものではないと思います。
ただ、それだけを報道する、見聞きするんじゃなくて、その背景も合わせて考えていかないと、問題は解決しないよねって思うのです。
人手不足の時代です。人を増やすことも必要ですが業務改善などで業務負担を減らすこともまた必要なのではないかと思うのです。医療、介護の現場これからどうなっていくのでしょうか。
私も近い将来高齢者の仲間入りですので、介護が必要にならないように予防できるところはしていきたいと、改めて思ったのでした。