デザインマネジメントの導入率を日本であげるには (PART 1)
「デザイン思考」という言葉から何を思い浮かべますか?
”デザイナーが用いるもの” ”クリエティブ関連の世界で限定して使用されているもの” と、思われている方も多いのではないでしょうか。
近年「デザイン思考」をテーマにした書籍も増えてます。「デザイン思考」とは、デザインやクリエティブに制限して活用されるものではなく、自分以外の誰かにとって意味のあるイノベーションを生み出す手法のひとつです。
海外では70%以上の企業がデザイン思考だけでなくデザインマネジメントの活用が当たり前になってきた時代です。その一方、日本国内一般企業に関してはわずか17%の導入に留まっています。
ではなぜ、現時点でも導入がおろそかなのか。
上記のグラフを見ていただくと導入後でも内容をきちんと把握してる企業が平均で4.3%。
その状態では「失敗を恐れる」という気持ちが大きくなり、挑戦する力はもちろん時代の急速な変化についていけなく可能性があります。だからこそデザイン思考を文化として浸透させる必要があります。
「現場改善」
日本の社会でも学校でもよく聞く言葉ですが、日本以上に改善に努める国は他にないと言っていいぐらいです。失敗を恐れ、完璧を求める日本人だからこそ改善を大切にされてるのです。
日々改善に励んでいるにも関わらず、イノベーションを出し続ける国ランキングでは2010年の4位から2022年ランキングでは過去最低の34位まで下落。国の法制度やR&Dの完成制度は評価されていますが、教育方針や創造性の活用方法に課題があるそうです。
・相手本位で物事を考えることが得意
・思いやりを持って接する
・冷静に人の話に耳を傾けれる
そういった習慣はデザイン思考と共通している部分であるのにも関わらず、なぜその導入は受け入れられにくいのでしょう。
相手と共創すること、話し合いを重ねることが「デザイン思考」の本質的な部分です。ところが「話し合い」が不得意とし、談論や対話が苦手であると言えます。自分の想いを恥ずかしがらず伝えるという行為は日本人からすると「そのアイデアが間違っていたら・・」「もし意見が違っていたら・・」と相手との調和を大切にしているからこそ不安な思いが先行し、根本的な課題解決を遠避けてしまいます。
言語を学ぶ際に聴解よりも圧倒的に筆記に秀でる理由と同様ではないでしょうか。相手のしぐさや表情を見て数少ない言葉でコミュニケーションを取り合うことが習慣化されている日本人からすると率直に伝えること自体が難しいのです。
日本語の言葉の中で主語が使われないのもそこに理由があるかもしれません。
多文化の視点からすると日本はいわゆるハイコンテクスト文化。
「これやっておいて」「それを取って」「あれどうなってる」などその人が分かる前提にされてるコミュニケーション法です。察することが大切にされる文化がゆえに直接伝える力、率直さに欠けています。お互いの認識が一致していなければ、相手がその結果や仕組みを望んでるという確証は得られないですね。
このハイコンテクスト文化があるのは日本以外にも韓国、ロシア、イタリア、中東などの単一文化の国々です。その文化だから同じ国の人であれば伝わると思われているかもしれませんがビジネスの際は必ずしもそうはいきません。
デザイン思考を使えばビジネス上のコミュニケーションもスムーズと思われがちですが、単一文化の場でそもそも活用できるのか、ちゃんと回るのかという疑問点はどうしても発生します。
実際どうスムーズに進むかは次回の記事で綴り、問いを解いていきます。
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