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デザインマネジメントの導入率を日本であげるには (PART 2)

前回は単一文化であるがゆえに、デザイン思考の導入がおろそかになっている日本の現状について綴りました。
デザイン思考が浸透しないのは、そのような文化だからと諦めてしまうのではなく本来、「改善」に長けている日本だからこそ、デザイン思考を企業内で活用することに適していると捉えるべきです。

創造性に使われる思考をビジネスに活かす、それがデザイン思考。

積極的に会議などに自ら参加をすることがデザインマネジメントでは最も大切なこと。立場問わず相手に興味を持ち、チーム一体となり問い続けることで課題解決ができます。

また年齢→昇進

という概念を企業活動で持つことが多いです。
だからこそトップダウン経営が企業の方針として昔から一般的です。
上層部の決断が全て。そのような想いで仕事に取り組む姿勢があるため、上司の言葉を一切疑うことなく、プロジェクトを実行します。
ここで一つ忘れてはいけないのが上司の認識と部下の認識の統一がなければ、デザイン思考以前にタスク処理も、プロジェクト完了にもつなげることができません。

現時点では、中小企業やベンチャー企業のデザイン思考導入率が順調に上昇中。しかしながら、大半が導入の必要性を把握しているものの、実施の方法の知識がないのが現状です。
日本のプロジェクトや企業リーダーにデザイン思考を活かし長期的な成功を築くために必要な要素は3点です。


①ユーザー視点調査について
量的調査と質的調査、両者が行うものです。

ここで肝心なのは数字に基づいたデータが全てではないことです。数字のみを頼りにするとエンドユーザーが見えなくなります。

量的調査とは・・
数値として計れます。年齢、身長、人口といったものをデータ視点で研究し、頻度や数も含め「統計」に基づいた結果です。
表やグラフなどがこの形式になります。

質的調査とは・・
手段や言葉で表されるもの。
例:サイトの訪問を量的調査で○○%減少が反映されていますが、根本的な原因やそこまでの過程は不確実です。質的調査は口コミ、感想も含めますが、カテゴリーやラベルといった言葉に基づくものが主な指標です。

多くの企業は量的調査は行うものの、質的調査も同時に徹底的に取り組む企業はわずか一握りです。

②技術的投資について
・テスティングへの投資
・マーケティング、アナリティクスツール系のソフト
そのようなものは無限にありますが、①のような研究を行うことで、どこに投資すれば最適であるかがわかってきます。

あるから使うのではなく、目の前の企業やプロジェクトの調査を隅々まで調べてからその結果に基づいて選ぶことが重要です。

③アジャイル開発について
言葉としてはあまり聞いたことないかもしれませんが、実は、デザイン思考の多くの要素があるのがアジャイル開発。フェーズ毎に分けて行動を起こすものですが、KPI設定が得意な日本人からすると導入もしやすいです。

フレームワークも多数含まれています。手順通りとはいえ1→10を作り上げることやプロジェクト時の柔軟性が必要な場面で一番といっていいほど使われてる手段です。

導入で終われば別々で考える必要のある手段と目的が一体化してしまいます。あくまでもマインドセットの一つであるということを忘れないでください。
上記3点を踏まえ、「デザイン経営」では人を中心にしたプロセスも必要になります。

多くの企業は実行前の段階で絶対的な成功をするという保証を望みがちです。前項でもトップダウン経営による拘束について明記していましたが、上司の承認が必要とされる日本社会では実行までの道のりは長く、上長確認が延々と続きます。試す前から書類一つで判断されてしまうからか実行後のテスティングよりも提案書作成に時間をかけてしまいます。

あとは日本の企業は
会社を中心にした思考であり、
会社の都合、予算、上司を考慮しながら仕事に進むことが多いです。
新しい案件を開始する際に上司から「この技術で○○して進めてください」と依頼をされ、「承知いたしました。」と返信するのが一般的ですよね。
・本当にその技術でいいのか
・なぜその技術が必要と判断したのか

上司の依頼とはいえ、上記のような問いかけをせず、技術を使うことが目的になるのは論外です。プロジェクトの軸となる目標が定まらず仕事に取り組むと本来の目標を見失ってしまいます。


そこで必要なのが人間中心設計
「人」を中心に考えることで必然的に収益が得られる仕組みになります。こちらもデザイン思考の大きな要素です。

導入して進めていくためにまず準備しなくてはいけないものは自由のイノベーションを起こし、デザイン思考を全力で活用できる場所です。

準備したその場所で成功例を出すことや社内の信頼貯金にも繋がり、上層部にも「創造性に対する自信」が付くようになります。


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